issue#06 I I I Little Talks CHAPTER 02 11
はたして、本堂の広間は荒らされていた。
黒い目出し帽の3人組が、泥のついた靴のまま板の間をうろつき回っている。磨き込まれた床板の上へ、泥の足跡が好き放題に判を捺していた。
「おい、金目のモンがねえぞ!なんだこの寺、意外とシケてやがんな!」
「チッ……なら、仏像だけでもかっぱらってくぞ!……あん?なんだぁ、この変な脳みその置物」
男の1人が、部屋の隅にたまたま居合わせたピンク色の塊へ目を留めた。
「あ、置物じゃないでちゅ。わちきはマクロブランクといいまちゅ。頭はさっきトリートメントを塗ったばっかりでちゅから、触らないでほしいでちゅ」
「うわ喋った!?キメェんだよ!!」
悲鳴まじりの声とともに、男の爪先がマクロブランクを蹴り飛ばした――まさに、その瞬間だった。
バァン!!
玄関の戸が、弾け開いた。張り詰めていた空気が、その一撃でまっぷたつに裂ける。
「「「あ?」」」
間の抜けた3つの声が揃い、男たちが一斉に振り返った。
開かれた戸口には、夕暮れの残光が満ちていた。その逆光を背負い、
制服姿の4つのシルエットが、微動だにせず仁王立ちしている。
顔は影に沈んで見えない。見えないことが、かえって何よりの威圧だった。
「ゲッ!?な、なんで"お前ら"がここに!?」
目出し帽の目穴の奥で、6つの目が見開かれ、凍りつく。
自分たちが土足で踏み込んだこの土地の家主が、
あろうことか「地球屈指のヒーロー」だという事実へ――彼らの理解は、あまりにも遅れて、
ようやく追いついたのだった。




