表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カルテット・マジコ  作者: piku2dgod
Issue#06 I I I Little Talks

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
707/772

issue#06 I I I Little Talks CHAPTER 02 09

「……ママ……」

立ち上がったまま行き場を失ったはちるの声だけが、小さく、畳へ落ちる。


残された4人は、動けなかった。

床に散らばって冷えていく唐揚げ。壁を伝った飛沫の跡は、もう縁のほうから乾きはじめ、

黄色い染みの輪郭をくっきりと浮かび上がらせていく。片付けるべきものは目の前にいくつも転がっているのに、誰の手も、膝の上から離れなかった。


「……なんだったんだよ、今の……」

アシュリーが、閉じた障子を見つめたまま呟いた。幽霊でも見たような目つきで、瞬きを忘れている。

「あんなキレ方する人だったかよ……今まで、1回だってなかっただろ」

「うん……。おかしいよ、おかーさん……」

さなは泣き出す寸前の顔で、自分の袖口をきゅっと握り、身を縮めた。座ったまま、

ひと回り小さくなってしまったように見えた。


「……これ、ただのギャンブル依存症ってだけじゃ、ない気がする」

おせちが、青ざめた顔のまま言った。視線の先には、白い襖。紙1枚の薄さの向こうへ母は消えたのに、その1枚が、今夜はどこまでも分厚く、遠かった。


母の瞳の奥で、理性の灯りが、ひとつ、またひとつと消えていっている。あれはきっと、

もっと大きな何かの前触れだ――言葉にならないその予感が、

氷の欠片を飲み下したような冷たさで4人の胸へ沈み、いつまでも溶けずに残り続けた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ