issue#05 I I I Why Can't We Be Friends? CHAPTER 05 64
――コンマ1秒の差だった。
天から降り注いだ赤い光柱が、さきほどまで彼らがいた場所――ハヴォックたちが「手土産」として転がしておいた、
シャカゾンビのロボット(レディオヘッド)がある1点を、正確に貫いた。
音は遅れてやってくる。まずは、高熱による大気の急激な膨張。視界が真っ白に飽和し、瓦礫の山が一瞬にしてプラズマの海へと還元される。
ズガァァァァァァァン!!
衝撃波が、カーディBとネ=レネを空中で木の葉のように吹き飛ばした。2人は地面を何度も転がり、煤だらけになって身を起こす。
恐る恐る振り返った彼らの目に映ったのは、抉り取られた大地だった。総統府のあった場所、その前庭にあたる広大な区画が、綺麗さっぱりと蒸発している。
そこにあったはずの、シャカゾンビのロボットなど、原子の塵すら残ってはいない。
宇宙空間。マミーDは、手元のコンソールに表示された数値を見て、口の端を三日月型に歪めた。
『接続確立』
『統御権限:100%』
画面を埋め尽くしていたエラー表示が消え、全システムが彼の掌中に戻ってくる。
邪魔な「共有者」は消えた。これで、この星にある全てのナノマシンは、完全に彼の意のままとなる。
「……へっ、決まりだ」
マミーDの唇から、安堵と嗜虐が混ざり合った紫煙が細く長く吐き出され、無重力の空間へ溶けていく。
コクピットの主モニター越し、眼下に広がるのは、大気圏を透過してなお赤々と輝く北米大陸の惨状だ。
地表を舐める爆炎の連鎖は、宇宙の暗闇に穿たれた傷口のように脈動し、夜の帳を暴力的な光量でこじ開けている。
その惑星規模の破壊跡と、1歩遅れて視界の端へ滑り込んできたホットショットの頼りない推進光。あまりに対照的な2つの光景を見比べ、彼は喉の奥で嗤った。
「あぶねートコだったが、これでフィフティーフィフティーの時代も終わりだ。よくここまで食らいついてきやがったな、お嬢ちゃんたち――」
もはや勝負の天秤は砕け散った。ここにあるのは拮抗ではない。絶対的な支配者と、それに歯向かう羽虫という残酷な構図だけだ。
「だがよ、ここから先は戦争ですらねえ。一方的な『解体ショー』だ……」




