issue#05 I I I Why Can't We Be Friends? CHAPTER 05 63
黒煙を長い尾のように引きながら、ついに半壊したロボットは推力のすべてを上方へ叩きつける。
「畜生、こうなったら賭けだ!……もっと早く思いつきゃよかったコトだがなあ――!!」
「あいつ、まだ動けるのかよ!」
1拍の遅れを取り戻すべく、ホットショットもスラスターを全開にし、赤い噴射炎を引いてその背中を追った。
……高度36000km、静止軌道。 大気の層を抜け、青色が黒色へと塗り替わった無音の世界で、
レッキンクルー・ブルースのバーニアが狂ったような明滅を繰り返す。
マミーDが駆る機体は、宇宙の暗闇に浮かぶピラミッド型構造物――かつてテラー・スクワッドが建造した衛星軌道兵器へと、上昇の慣性を殺しながら片手でしがみついた。
「ええい、邪魔くせェ! こっち向きやがれッ!」
マミーDが操縦桿を強引にねじ込む。 姿勢制御スラスターが限界値を超えたプラズマを吐き出し、
真空の暗闇を焼き焦がす。機体の、腕から伸びた無数のケーブルが、ピラミッドの継ぎ目ない装甲へ牙のように突き刺さり、システムを侵食していく。内部ジャイロが悲鳴を上げ、
ステーションの構造材がきしみを上げる中、マミーDは力任せに構造物全体を回頭させた。
赤黒いレンズが捉えたのは、眼下の北米大陸ではない。東へ位置するアフリカ大陸――ニュー・ジャマメの座標だ。
「なっ……!?」
後方から迫っていたホットショットが、その不可解な挙動に目を見開く。
マミーDの意識は、追撃してくる自分になど向いていない。彼の殺意は、
もっと致命的な1点に注がれていた。
「――ネレネ逃げろッ!!狙いは北米じゃない、ニュー・ジャマメだ!」
ホットショットの絶叫が虚しく響いたのと同時。ピラミッドの頂点から、凶悪な光が放たれた。
それは、北米を焼き払ったミサイルや重機の砲火とは次元を異にする。
惑星の地表をピンポイントで外科手術(焼灼)するための、純粋かつ高密度の破壊光線。
「……アブねぇ!姉ちゃん!!」
ニュー・ジャマメ、総統府跡地。頭上の空が、瞬きする間にドス黒い赤色へと塗り潰されるのを見て、カーディBが叫んだ。彼は、傍らに立ち尽くしていたネ=レネの背中を蹴り飛ばす勢いで掴むと、黒い翼を極限まで展開し、爆発的な脚力で瓦礫の山から飛び退く。




