issue#05 I I I Why Can't We Be Friends? CHAPTER 05 62
「監督ゥゥっっ!……テメェッ!」
チコ・カリートの喉が裂けた。眼柄の先端で、2つの眼球が別々の方角を向いている。
片方はよろめくレッキン・クルー・ブルースを、もう片方は急降下してくるホットショットの赤い航跡を捉えていた。
「クソがッッ!まとめて吹き飛びな!」
「ん!」
ハイファナの4本の腕が、同時に振り下ろされる。チコ・カリートの殺意とハイファナの制御が噛み合い、空中に屹立するレーザーキャノンの砲身が白熱した。充填されていたエネルギーが臨界を突破し、
砲口から極太の光帯が吐き出される。
白い光の柱が大気を灼きながら一直線に伸び、稲妻と呪符で編まれた檻ごと、
中にいる全員を消し飛ばさんと突き進んだ。
「待ってました……!」
ホットショットの声は、笑っていた。
彼女は光線の射線へ向かって真横から突っ込んだ。体を高速で錐揉みに回転させながら、
全身の炎を腹の前に凝縮させる。圧縮された超高温の大気が、彼女の周囲の空間を歪めた。
――ギュイン!!
チコ・カリートの放った純白の光線が、ホットショットの体をかすめた瞬間軌道を捻じ曲げられた。
直線だった光帯が完璧なCの字を描き、進行方向を90度以上変えて跳ね上がる。
曲がった光が向かう先には、スヌープキャットの頭突きで顎を砕かれ、
首を仰け反らせてよろめくレッキン・クルー・ブルースがいた。頭突きの衝撃で胸部装甲がずれ、
普段は噛み合って塞がっている装甲板の継ぎ目が、数cmだけ口を開けている。
そこへ、光の鞭がしなって突き刺さった。
装甲の隙間から潜り込んだ白い光帯が、機体の内側で暴れ回る。
外殻を透かして、中で何かが赤く、白く、連鎖的に灼けていくのが見えた。
爆ぜた。
レッキン・クルー・ブルースの胴体が内側から膨れ上がり、装甲板の継ぎ目という継ぎ目から白い光が噴き出す。
――ドオオオオオォオオン!!!
電磁フィールドの許容量を突破したエネルギーが、内側から食い破られるようにして炸裂した。
放物線を描いて落下していたビル群は、瞬きする間に熱の塊へと変わり、輪郭を失って溶解する。成層圏を突き上げるキノコ雲が沸き立ち、その猛烈な上昇気流が、レッキンクルー・ブルースの機体を木の葉のように噴き上げた。 視界を埋め尽くす閃光と爆炎の前では、斜め上空へ弾き飛ばされた鋼鉄の巨兵も、舞い散る火の粉のひとひらにすぎない。




