issue#05 I I I Why Can't We Be Friends? CHAPTER 05 61
「なんだ、計器が狂って……まさか、電磁フィールドか!?」
コックピットの中で、マミーDを取り囲むモニター群が、一斉に激しい砂嵐のノイズに沈んだ。
外部の状況を伝えるセンサーがショートし、索敵用のレーダーが機能を停止し、
通信回線も完全に遮断される。彼の目の前の計器盤で明滅を続けているのは、
自機の内部バッテリー残量を示す赤色のデジタル数字だけだった。
瞬間、強固に密閉されたはずの檻の外壁が、外から内に向けて不自然に大きく膨らんだ。
ドンッ!という打撃音ではない。風そのものが圧縮されて固形になり、四方八方へ弾け飛ぶ感触。
呪符の壁が撓み、稲妻の格子がスパークを散らす。フィールドの皮膜を、
何かが食い破ろうとしている。
限界を迎えた結界が爆発音と共に破れ、そこから飛び出した影が、
大気との摩擦で生じた赤い閃光を長く引きずった。
スヌープキャットだ。
彼女はフィールドを力任せに突破する際に生じる強烈な抵抗を、決して減速の理由にはしなかった。
檻の壁が持つ弾性が彼女を押し返そうとする力を、全身の筋肉を使って前面で受け止め、
スリングショットが弾ける原理を応用して自身のさらなる加速へと変換したのだ。
その突進は、人間の網膜が捉えられる速度をとうに置き去りにしている。
空中で彼女は背骨を大きく反らせ、全身のバネを限界まで引き絞った。
異常な加速から生じる運動エネルギーが、四肢の末端から首の筋肉にまでみっちりと伝播していく。
そして顎を引き、額を前に突き出す姿勢をとった瞬間、すべての破壊力がその1点へと集約された。
――ズギャァアアアアンッッ!!
砲弾と化したスヌープキャットの硬い額が、レッキン・クルー・ブルースの鋼鉄の顎を下から上へとかち上げるように激突した。




