issue#05 I I I Why Can't We Be Friends? CHAPTER 05 59
同時刻。浮遊する都市の渓谷を縫うように飛ぶホットショットは、
進路を塞ぐビルを極太の熱線で片っ端から薙ぎ払っていた。
射線が触れた高層建築が、断面を赤く灼かせながらバターのように両断され、
くの字に折れて左右へ吹き飛んでいく。溶けた鉄の飛沫が彼女の頬をかすめるが、
その程度の衝撃はそよ風と変わらない。
視界の端で、何かが膨れ上がった。
ホットショットの目が、はるか下方の地上で急速にチャージされていく高エネルギー反応を捉える。
砲口の向き。射線を辿る。その延長線上に、味方たちの姿があることを確かめた。
そして、砲口の根元に群がるチコ・カリートとハイファナの姿も。
彼女の唇が楽しげに歪んだ。
「おっ、報連相が出来てない悪い子……みーつけた!」
「……馬鹿野郎ッ!テメエらっ!……やめろッッッッ!」
ビルの大群を空に浮かべたまま、その中心でコアとして全てを統べるマミーDの顔色が変わった。
コックピットのモニターが捉えているのは2つの光景だ。
1つは、地上で臨界に達しようとしている味方の砲台。
もう1つは、その砲台を狙い澄ましたように急降下を始めるホットショットの赤い航跡。
味方が放つビームを、あの炎の小娘が吸い込んで倍返しにする――その最悪の絵図が、脳裏で完成してしまった。
背筋を悪寒が駆け上がり、彼はなりふり構わず通信機に噛みついた。
「よし行こう……!」
イムノの指先が、ガンブレードの回転式弾倉を横へ大きく弾き開けた。
「雷のソイル」の鈍く光る薬莢を、親指の腹を使ってシリンダーの穴へ次々と乱暴に押し込んでいく。
6発すべてを装填し終えるや否や、彼女は手首の鋭いスナップだけで弾倉を跳ね上げて閉鎖した。
重たい銃身と薬室が噛み合い、カチンと硬質な金属音を鳴らす。
足場は空を飛ぶ、大きく傾いだビルの屋上だ。イムノはそのコンクリートの平面を、体重を乗せた右足で深く踏み抜いた。分厚い建材が彼女の蹴り脚の形に陥没し、行き場を失った反動が彼女の身体を上空へと跳ね上げる。放物線の頂点に達した瞬間、彼女は両手で銃を水平に構えた。
銃口の先にあるのは、宙を流れるビル群の中心を行く赤い機影――ではなくその周辺のビルだ。
ためらいなく引き金を絞り込む。
「ソイルッ!」
銃口から吐き出されたのは、青白い稲妻をぎっしりと纏った電撃の塊だった。大気を激しく焼き焦がす破裂音を響かせながら、雷の弾丸がビルの谷間を一直線に駆け抜けていく。




