issue#05 I I I Why Can't We Be Friends? CHAPTER 05 53
「……私たちの距離で戦うようにしよう、絶対に空にはあげないようにね!」
ここで、イムノが全員に鋭く指示を飛ばした。彼女は左右に聳えるビルの壁面を交互に蹴り、
三角飛びの軌道を描いてジグザグに上昇しながら距離を詰めている。
「おう!」
「「わかった!!」」
姉妹たちの短く力強い応答が重なり、4つの影が包囲網を狭めていった。
「――」
前後左右、4方向から迫る敵の気配を肌で感じ取ったマミーDは、コックピットの中で不敵に口端を吊り上げる。プロペラを変形させた3本指の掌を意味ありげに上へ向け、
そのまま、ぐるりと180度回転させた。その滑らかな動作へ呼応し、都市全体が大胆な変貌を始める。
「ッ!?」
イムノが驚愕に目を見開く。
ズゴゴゴゴゴゴゴゴォ……!
都市を構成するすべての建造物が一斉に大地を離れ、浮上を開始したのだ。
地盤が悲鳴を上げ、アスファルトの道路が蜘蛛の巣状にひび割れていく。
その亀裂から、建物の基礎が引き抜かれる轟音が響き渡った。
数100mの高さを誇る摩天楼や街路樹、放置された車両が、見えざる糸に引かれるように重力の束縛を断ち切る。基礎から千切れた配管や地下ケーブルが垂れ下がり、そこから土砂とコンクリート片が雨のように降り注いだ。視界を埋め尽くす鉄とコンクリートの森が根こそぎ空へと持ち上がっていく。
地上の理が崩れ去り、足場そのものが浮遊する立体的な迷宮へと変貌を遂げようとしていた。
レッキン・クルー・ブルースの両腕が左右に開かれた。プロペラから変形した3本指が、
掌を外へ向けてぐわりと反り返る。
マジンガーZで言えばブレストファイヤーの構え、すなわち次に来る攻撃は、
スーパーロボットにとっての必殺の一撃を意味する。全身の装甲板がスライドし、
内部のジェネレーターが唸りを上げる。
「――消し飛びなァッッッ!」
胸部装甲が観音開きに割れ、露出したジェネレーターの奥で、赤黒い光の塊が臨界まで膨れ上がっていく。
――ズォオオオオオオオオオオオオオン!!!!
全方位拡散ビーム。装甲の隙間という隙間から白い光が噴き出し、
世界を上書きした。浮遊するビル群の影も、空の色も、上下の区別さえも、灼熱の白に溶けて消える。
「……おあいにくさま!こっちは冬でも半袖短パンの虫取り小僧なんだよ!」
白の奔流を、赤が貫いた。
ホットショットが、頭から光の壁へ突っ込んでいく。
拡散ビームが全身の炎に触れた端から吸い取られ、纏う火が2回り、
3回りと太く膨れ上がる。白い嵐の中を、赤い弾頭だけが減速もせず突き進む。




