issue#05 I I I Why Can't We Be Friends? CHAPTER 05 51
制御不能となった彼女の身体は宙へ高く弾かれ、機体から強制的に排除されていく。
「じゃあな!」
マミーDがカバー内部の腕を引き絞ると、両腕のプロペラナセルと背部のメインスラスター、
計3か所の噴射口から太陽のプロミネンスを思わせる極太の炎が噴出する。
爆発的な推力を得た機体は重力を振り切り、高空へと急上昇を開始した。
その紅の軌跡を追い、ホットショットが弾幕を散らしながら加速する。
「待ちやがれえぇぇッ!」
「……アシュリーッ!使ってっっ!!」
遅れてミーティスの操る札の群れも、生物的な軌道を描いて鋼鉄の城を追尾していった。
上昇するレッキン・クルー・ブルースが、食らいつく2つの影に対し、不意に首だけで振り返る。
「しつこい客だ。お引取り願いな!」
罵声と共に、両腕で唸りを上げていたプロペラが回転を止め、ねじれるように折り畳まれる。
3枚の羽根は鋼鉄の指へと変形し、掌の中央にあるノーズコーンがパズルのように展開した。
奥から現れた砲口に、紅蓮の光が収束していく。
「――吹き飛べやッ!」
左右の腕から極太のビームが放たれた。2条の熱線は競い合うように空を焼き、
ミーティスの展開した札の群れを飲み込む。
術式を焼かれた紙片は次々と爆発して灰へと変わり、空から脱落していった。
だが、その破壊の光景の只中でマミーDは信じがたいものを目にする……。
「ウソだろぉ……!?」
ホットショットが、あろうことかビームの光の中へ正面から突っ込んだのだ。
破壊のエネルギーを回避するのではなく、真正面から受け止めている。
それどころか彼女の纏う焔の装甲はビームの熱を貪欲に吸い上げ、自身の推力へと変換していた。
「冷え切った夜の街に浮かぶ窓の明かりくらい……優しくてあったかい熱じゃねーの!」
光のベールを纏い、彼女はさらに加速する。コックピットのモニターが警告色に染まり、
マミーDが驚愕の声を漏らす。
「こいつ、熱を吸収すンのかァ!?」
「んなこと戦うつもりなら事前に調べとけマヌケッ!まとめサイトにも載ってんぞ!」
光のトンネルを突き抜け、ホットショットが赤い機体の懐へ踊り出た。




