issue#05 I I I Why Can't We Be Friends? CHAPTER 05 48
「……よう、お嬢ちゃん。随分と派手な『解体』をしてくれるじゃねえか」
「え……ッ!?」
「こいつは俺の最高傑作のひとつ、『レッキン・クルー・ブルース(Wreckin' Cru Blues)』だ。
……おう、挨拶してやれ」
眼球の代わりに埋め込まれた大口径の投光器が、直視不可能な輝度で発光した。
光の暴力がミーティスの姿をきつく照らし出し、彼女は思わず顔を覆った。
レッキン・クルー・ブルース。その名は、重苦しいエンジン音と共に彼女の鼓膜へへばりつく。
機体はあえて上昇速度を緩めたかのように、その全貌をミーティスの眼前にじりじりと晒し続けた。
鋼の仮面の下から、分厚い首が、次いで堅牢な肩の装甲が現れる。
だが、その肩の先に接続された機構は、通常の人型機械が備えるマニピュレーターの形状を大きく逸脱していた。
左右の肩の先にあるのは、それぞれが独立した巨大な航空機エンジンを思わせるナセル構造だった。
その先端には、長大な3枚羽のプロペラユニットが装着されている。
胴体が完全に地上に露出すると、赤1色に染め上げられた機体の全貌が白日のもとに晒された。
逆三角形を描く上半身は雄々しく、分厚い胸部装甲には無骨なリベットが打ち込まれている。
重量を支える脚部は太く。関節の隙間からは動力パイプや油圧シリンダーが覗く。
それは洗練された兵器というよりは、力任せに建造された空飛ぶ城塞の趣があった。
――ブォオオオオオオオ!!!
次の瞬間、両腕の巨大なプロペラが、低い唸りを上げて回転を始めた。
空気を叩く音が次第に連続したけたたましい音へと変わる。回転数が上がるにつれて、
谷底から猛烈なダウンウォッシュが吹き上がった。ミーティスは咄嗟に顔を腕で覆う。
周囲の瓦礫が軽々と巻き上げられ、粉塵が渦を巻いて視界を遮った。
その暴風の中心で、赤い機体の足がミーティスの視界から突き放される。両腕のプロペラが生み出す強力な揚力が、鋼鉄の超重量を強引に空へと持ち上げた。機体は安定した姿勢を保ったまま、ゆっくりと、しかし確実な速度で街の高空にまで昇り詰めていく。プロペラの風切り音が周囲の音を全てかき消した。




