issue#05 I I I Why Can't We Be Friends? CHAPTER 05 46
「……さなっ!うけとって!」
スヌープキャットが叫ぶ。背後へ視線を投げ、束の間微笑んだミーティスは、その風こそ待ちわびていた。彼女は横軸へしとやかに1回転し、遠心力を利用して、頭頂から袖口までの全身を、
流線形へとやわらかく整え直す。そして、膨らみ上がる衝撃波の巨大な泡に、足元から突き上げられた。爆発力、そのすべてをあますことなく推力へと変換し、マミーDの多脚戦車へ一気に肉薄する。
「なっ!?テメェ、どうやって…!」
コックピットのモニターが、背後に張り付いた少女の姿を映し出す。あまりの速度に、
パーカーにウサ耳フードの道士の輪郭は、引き伸ばされたようにブレて、風の膜を幾重にも突き破り続ける。峻烈に振るわれた袖口から、数1000枚もの呪符が意思を持つ鳥の群れと化して解き放たれる。
都市の遠景に、目の覚めるような色合いの変化――。札は、圧倒的な密度で空間を埋め尽くした。
マミーDが驚愕に目を見開く。背後を抜き去りざま、ミーティスは冷然と、
しかし確かな意志を込めて告げた。
「あなたの逃げ道なんて、もうないんだからね!」
軌道を分かつ少女の言葉が風に溶けるよりも早く、
紙の鳥たちは、マミーDが退避路として選んだ前方のビルへ、吸い込まれるように殺到した。
壁面のあらゆる部位に呪符が隙間なく張り付き、ビル全体へ白1色の死化粧を施していく。
「――ばくだんッ!」
ガシャン!ガラスを砕いて階層内へ、背中から突っ込むミーティスの号令が響く。
瞬間、ビル全体が内側へ向かってひしゃげた。外への拡散を拒み、
中心点へ向かい急速に収束する爆発――。
銀の外壁は強烈な光を放ちながら湾曲し、
マミーDの多脚戦車は木の葉のように吹き飛ばされた。
制御を失った機体は隣接するビルの壁面を突き破り、その内部へと突っ込んだ。




