issue#05 I I I Why Can't We Be Friends? CHAPTER 05 38
「……ッ!――マムシっ!!!!」
下方では、焦燥に駆られたミーガンが叫んだ。彼女の操るレールガンから、青白い光条が雷鳴と共に立ち上る。射手の殺意を乗せた弾頭は、空中で不規則に軌道を変え、それぞれが別個の意思を持つ蛇のようにスヌープキャットを執拗に追尾した。
だが、スヌープキャットは回避を選ばない。彼女は降下の勢いを殺さず、迫りくる光の蛇を正面から歓迎した。小さな拳が的確なタイミングで乱打され、不規則に暴れる砲弾の芯をひとつも外さず叩き割る。
光線は彼女の肌の数m手前で弾け飛び、熱を失った鉄の残骸となって、銀の大地へ散弾と化して降り注いだ。
「なっ!?」
ミーガンの唇から戦慄が漏れる。その瞬間、戦場にある全ての意識は、数秒後に訪れる未来の光景を共有し、そこへ没頭させられた。それは、ユキヒョウの獣性と人の理性の間で変転を繰り返す彼女が――熱の燐光を纏い、空気をぐらつかせながら落下する彼女が、このまま減速することなく大地へ激突した場合、何が起きるかという問いへの、あまりに暴力的な解答だ。
すなわちそれは、生命の痕跡を拭い去る破壊。あるいは、文明そのものの幕引き。
姉妹や母、そしてハヴォックとプロディジーをのぞけば、個々人の理知はその幻視を妄想だと切り捨てようとする。だが、本能は正直だ。彼らの四肢は破局への恐怖に縛られ、誰1人として指1本動かせない。
ただ、彼女の降下が至る終点を凝視し続けることしかできなかった。
接地までコンマ数秒。スヌープキャットは空気を切り裂きながら、
両足を大きく開いてVの字に構える。両の拳を脇へ引き絞り、
落下の全エネルギーを打撃点へ収束させた。
彼女の拳は銀の地盤をあやまたず貫き、
その小さな身体が完全に大地へめり込んだ。接触の瞬間、全員の脳裏をよぎった幻視は、
現実として再現された。半球状の閃光が弾け、爆圧が解き放たれる。
膨張する破壊の波は周囲を呑み込み、銀の地面は波紋を描いて隆起した。数kmにわたる領域が、
迅速かつ執拗に、根こそぎ薙ぎ払われていく。




