issue#05 I I I Why Can't We Be Friends? CHAPTER 05 37
遅れて、このアメリカ大陸の焦土へ、1筋の紅い輝きと共に着弾した影があった。
激しい爆炎のど真ん中で、紅く尖った結晶体の女が、テラリアクイーンの本体として突っ立っている。
「こんな遊び、あたしがサッサと終わらせてやるよ!さあ、てめぇらの命で、あたしの足元を飾りやがれッ!」
テラリアクイーンの唇が、凶悪な弧を描く。彼女の紅い結晶の肉体が脈動すると、大地が深層から根こそぎ引きずり出されるように隆起した。無数の岩塊と土砂が重力に逆らい、逆さまの鍾乳石となって天へ伸びる。その隆起の最先端となって空へ突き上げられる彼女の4肢へ、這い伸びる土塊が猛烈な勢いで吸着していった。その影は瞬く間に雲を突き抜け、全高3kmに至る巌の塔となって荒野を見下ろす。
「――おらァ!!」
テラリアクイーンは山脈に匹敵する右の拳を、天から地へ向けて無造作に叩きつけた。振り下ろされた腕が空気を極限まで圧縮し、拳が地表へ達するより早く、透明な衝撃の壁が鉄の軍団を襲う。
最前線の兵士たちは、直接触れられることさえなく装甲を内側へひしゃげさせ、原形を失った。
ドォン!大地が爆ぜ、巻き上げられた土砂が光の幕となって天へ噴き上がる。地割れがどこまでも走り、飲み込まれた全ての兵器が塵へと還元されていった。
突如として戦場に出現したこの怪物へ、地平のすべてから沸き起こり続ける反撃の火線が傾いていった。無数のビームがテラリアクイーンの岩肌を焼き、着弾の閃光が視界を白く染め上げる。だが、彼女は1歩も退かない。焦げ付く装甲を意に介さず、天の頂へ向けて勝利を確信した咆哮を轟かせた。
「ヴォウォオオオオオオッッ!!!」
その常軌を逸した豪胆な立ち姿に、戦場の時間は凍りつき、誰もが目を奪われた。
「奥義、はちルーレット!」
――そして真打がやってくる。幼獣めく彼女の声が、凍結した時間を、
誰もあずかり知らぬところでひそやかに破った。
スヌープキャットが天空から急角度の降下を開始したのである。落下の最中、彼女の輪郭が激しくブレた。獣人の毛皮と人間の滑らかな肌とが高速で入れ替わり、幾重もの残像が空に奇妙な軌跡を描く。
それは戦術的な欺瞞ではなく、単なる彼女の気まぐれな遊びだ。




