issue#05 I I I Why Can't We Be Friends? CHAPTER 05 36
そして最後に、上空から3色の光条が戦場の中心点へと突き刺さった。
「「「到着ッ!!」」」
爆心地に穿たれたクレーターからカルテット・マジコが飛び出し、
その中からホットショットだけが、跳ねかえるかのように、勢いを殺さずにさらに加速した。
そのまま北米の荒野を低空飛行するホットショットの視界を、地平線を埋め尽くす重機の軍団が占有していく。地割れに飲み込まれ、軌道エレベーターの破片に押し潰され、それでもなお生存した1000万以上の鉄の怪物が、赤く発光するカメラアイをぎらつかせ、殺意の密集陣形を敷いていた。
それは視界の端から端までを敵が埋め尽くす光景だった。しかしホットショットは不敵に笑い、
全身から紅蓮の炎を噴き上げた。
「これだけいれば、狙いをつける手間も省けるな!」
ホットショットは背部から爆発的な推力を生み出し、地を這う紅蓮の弾丸となって敵陣の中央へ飛び込んだ。彼女の視界をさえぎるほどに、数万の砲門から放たれたビームの輝きが交差し、
逃げ場のない光の檻を形成する。
ホットショットはその高密度の弾幕を、身体をきりもみ回転させる最小限の動きで巧みにかいくぐった。敵の頭上を通過するコンマ数秒の間に、指先から凝縮したプラズマの火球を無数に解放する。
ばら撒かれた光弾は、磁石に惹かれる鉄粉のごとく彼らの足元へ着弾し、数100tの重量を持つ戦車級の重機は、地中から膨れ上がる爆風によって軽々と裏返る。破壊された機体から溢れ出した炎が、
密集していた後続の機体を次々と飲み込み、連鎖的な誘爆が波紋となって広がっていった。
「はい、いってらっしゃい!」
カメラが高速で横に揺れ、銀色の平野を抵抗なく滑走するミーティスを映し出す。
彼女がふわりと袖を振るうと、何1000枚もの呪符が溢れ出し、意思を宿した群れへと変わり空を舞う。
敵の前衛から放たれたビームの掃射が迫るが、ミーティスの周囲に展開した呪符の円盾が、その雨を軽やかに弾き飛ばした。
飛びかかる虎のように別働する紙片の群れは、重機たちの装甲にビタリと音を立てて貼り付いていく。
次の瞬間、貼り付いた呪符が一斉に起爆した。噴き出す爆炎が、軍団という堅牢な殻を外側から確実に剥ぎ取っていく。
「……じゃっ、今から相当掃討していこっかな!……フフッ」
自分の冗談に思わずクスリとするイムノが、両手でガンブレードを固く構え、トリガーを完全に引き絞った。
「――ソイルッ!」
イムノの全身を、紫電が駆け抜ける。
その強烈な電磁誘導が彼女の体を、眼前の空間を置き去りにするほどの速度で射出した。雷速の斬り込みは、果てしなく連なる方形陣を組んだ敵のど真ん中を、一文字に切り裂いていった。
彼女が通過した軌跡。その背後では、寸断された装甲の断面に残留した紫電が、僅かな時差をもって次々と炸裂する。連続する爆発は、イムノの移動経路を縁取るように、華やかな火花のカーテンを描いていった。




