issue#05 I I I Why Can't We Be Friends? CHAPTER 05 33
空中で、無数の太陽が誕生した。マッハで駆け上がる大陸間弾道弾が、
天から雪崩れ落ちる長塔の底面に触れ、飴細工のようにひしゃ、次々と破砕されていく。
弾頭が連鎖的に炸裂し、灼熱の火球が塔を包み込む。だが、褐色の巨人は揺らがない。
爆炎の雲を強引に引き裂き、摩擦熱で赤く発光する先端を突き出して、北米大陸の中心点へ、
裁きの雷となって降り注ぐ。
「ば、馬鹿野郎!避難だ!総員退避ッ!!」
マミーDが唾を飛ばし、ひび割れそうなほどの握力で通信機にかじりついて叫ぶ。
だが、上空から迫るのは、音の壁を突き破って落下する億t級の巨体だ。対して、地上を這う重機たちの鉄の足は、あまりに鈍重すぎた。回避行動をとろうと唸りを上げるディーゼルエンジンの音さえ、
空を覆い尽くす落下の風圧にかき消されていく。
ズガァァァァァァァン!!
着弾。 世界中の大気が一瞬で弾け飛ぶ。
それは、かつて恐竜を絶滅に追いやった隕石衝突の光景を、
現代にそのまま解凍したかのような地獄絵図だった。
エレベーターの先端が、北極の沖合に突き刺さる。接触の瞬間、
及んだ熱量によって海そのものが沸騰し、一瞬で蒸発した。行き場を失った何億tもの海水が
、白濁した高温の壁となって空へと弾き飛ばされる。海水を剥ぎ取られた海底の岩盤が、
耐えきれずに悲鳴を上げて砕け散った。着弾点から発生した衝撃波は、大西洋の底を走る亀裂となり、
蛇のように海底を奔って、そのまま北米大陸へと上陸する。
東海岸に布陣していた重機部隊のモニターが、一斉にホワイトアウトする。
フロリダからカナダ国境にかけて、大陸の背骨をへし折るような巨大な地割れが、
雷光の速度で駆け抜ける。
「地面が……割れるぞォッ!!」
マミーDが叫ぶなか、整列していた戦車級の重機たちが、将棋倒しになり、互いに押しつぶし合いながら、底の見えないクレバスへと落下した。逃げ遅れた機体は、地殻変動が生んだ衝撃波によって、
ただの鉄屑へと圧縮され、空中に舞い上げられる。
大陸を縦断する傷跡。そこから噴き上げるマグマと土砂の噴水が、かつてフューチャー・ラボと呼ばれた実験場を、ことごとく更地へと還元していく。




