issue#05 I I I Why Can't We Be Friends? CHAPTER 05 32
「――」
ミーティスは、声を出せなかった。
星と星を繋ぐために建てられた白い架け橋が、今は狂おしい炎を全身に纏い、地上へ向けて処刑の大鎌を振り下ろしている。人類が到達した工学の頂点が、その到達点の高さをそのまま破壊の落差に変換し、
文明の心臓部を叩き潰そうとしていた。
「ほんとにやっちゃった……」
呆れ果てた唇から、乾いた笑いだけがこぼれ落ちる。
その隣で、ホットショットは拳と拳を打ち合わせ、胸を張って宣告した。
「ざまーみろ!駐禁の場所に停めるからこうなんだ!!」
星の海を背景にして、赤く燃え続ける柱が沈んでいく。その航跡は、夜空に引かれた1本の斜線だった。
始点は宇宙、終点は大地。あまりに乱暴で、あまりに明快な、直線の回答。
彼女たちがこの星を守るために選んだ「解決策」は、荒唐無稽の極みであり――同時に、
これ以上なく痛快な1ページだった。
*
北米大陸、フューチャー・ラボ。 マミーDの視界は、地平の果てまでを埋め尽くす「鋼鉄の津波」によって塗り潰されていた。ナノマシンの枷が外れ、個としての輪郭を確立した鉄の怪物たち。装甲を溶接したダンプ、砲塔を載せたショベル、多脚戦車と化したクレーン。巨大な2足歩行の機械たち、
その総数はゆうに10億を超え、大地そのものがうねりを上げて動いている錯覚さえ覚える。
錆びついた鉄の海原から、100条を超える白煙が天を刺し貫いていく。噴き上がるミサイル群は、
この星の終幕を飾るファンファーレのように、高空へ吸い込まれていく。
「……急げ急げ!仕上がった端から撃ちまくれ!」
マミーDが飛ばす檄。だが、職人としての彼の鋭敏な感覚が、ふと空の異常を捉えた。
ミサイルが目指すその先、大気の天井が、赤熱した光の線によって焼き切られている。
「……あン?」
雲間から漏れる陽光――そう見間違えるほどに鮮烈で、しかし陽光にはあり得ない固体としての輪郭。
直後、空が割れる。成層圏を食い破り、垂直に落ちてきたのは、世界の空を左右に分断するほどの長さを誇る、白亜の「柱」だった。
「親方ッ!上空より超重量の落下物!こ、これは……!」
チコ・カリートの絶叫。
「軌道エレベーターです!!」
認識が追いつくよりも速く、宇宙から振り下ろされた「神の棍棒」が、上昇するミサイル群と激突する。




