issue#05 I I I Why Can't We Be Friends? CHAPTER 05 29
日記
クレにとって最高のワールドカップ
決勝の90分は泣きながら見ると思う
真面目に
「よーし、最後はみんな!」
「じゃ、お前ら……遅れんなよ!」
ホットショットが全身を紅蓮の推進炎で包み込み、号令と共に大地を蹴る。
彼女はそのまま1筋の赤い流星となり、先発した集団を追い抜く勢いで西の空へ突き刺さっていった。
残された姉妹へ振り返るスヌープキャット。彼女は、まずミーティスの腰に、
大きな手のひらをがっしりとあてがった。
「まずはさな!」
「わーいっ!」
うなりを上げる剛腕。獣人の肩関節が、生物の限界を超え――カタパルトの柔軟さでぐるりと円を描く。360度の大回転から繰り出されたのは、剛速球などという次元を超えた、大気圏外への直接投擲だ。
ドォォォン!!
放たれたミーティスは、絶叫マシン感覚で放つ歓喜の声を白い光の尾に変え、超音速の彼方へ消し飛ぶ。
「次、おせち!」
「お、お願いだからフォームは綺麗に――」
イムノの注文など聞く耳持たず、スヌープキャットは次弾を装填する。再び描かれる豪快な円。
タメにタメた遠心力が、オレンジ色のボブカットを纏う少女の臀部に炸裂した。
ズバァァァァン!!
2つの光芒が、先行する赤い星を追って空に輝く。それは移動というよりは、
神話の巨人が放った矢のごとき光景として、街の遠景に刻み込まれていった。




