issue#05 I I I Why Can't We Be Friends? CHAPTER 05 26
「……上等じゃないか」
絶望的な報告を前にしてなお、ホットショット――アシュリーだけは、不敵な笑みを唇に刻んでいた。
「向こうが『数』で来るってんなら……こっちは『質量』と『高さ』で、その元凶を叩き潰すまでだ」
彼女は背後、雲を突き抜け宇宙の彼方まで一直線に伸びる白亜の巨塔――軌道エレベーターを見上げ、拳を鳴らす。
「いっぺん、あいつらに教えてやる必要があるな?自分たちが、一体『何の下』に住んでいるのかを」
彼女の意識は、およそ考えうる限りでもっとも凶悪な解決策と一直線に結ばれた。全員の視線が、つられてそこに集っていく。
「……は?」
イムノが、嫌な予感を察知して頬を引きつらせる。
「こいつを根元からへし折って、北米大陸に向けて『倒す』んだよ」
ホットショットは、こともなげに言い放った。あたかも、日曜大工で杭を打つかのような軽さで。
「長さ数万kmのスーパーヘビー級のバットだ。こいつが倒れれば、その重さと落下の衝撃だけで、北米の実験都市なんて一撃でペチャンコだろ?」
そのあまりに暴力的で、スケールの大きな提案に、場が凍りつく。
「ま、また倒すの!?」
いつもなら、こうしたマッドな作戦には一番に食いつくはずのイムノが、この時ばかりは顔色を変えて悲鳴を上げた。彼女の脳裏に、かつてドバイでやらかした「ブルジュ・ハリファ倒壊事件」の記憶――そして、その後にSNSで浴びせられた世界中からの非難の嵐が、トラウマとなって蘇ったのだ。
「やめようよ!ブルジュ・ハリファの時も、わざとやったってバレてめちゃくちゃ非難されたんだから!」
イムノは涙目で訴える。だが、ホットショットは聞く耳を持たない。彼女はニヤリと笑い、暴論という名の燃料をさらに注ぎ込んだ。
「大丈夫だ、港はゴチェヌコイが来てからずっと閉鎖されてるし、全部終わったらナノマシンで直せばいいんだからな!」
「そういう問題じゃないでしょぉ!」
ミーティスのツッコミが虚しく響く中、傍らから熱波を伴った豪快な笑い声が割り込んだ。
「ガハハハハ!違いねェ!『あんとき』のスケールアップってわけか!」
テラリアキングが、溶岩のしぶきを撒き散らしながらホットショットの背中をバシりと叩く。
その衝撃だけで小型車ならスクラップになりそうな一撃だが、炎の化身たる彼女はビクリともせず、不敵な笑みを返した。




