issue#05 I I I Why Can't We Be Friends? CHAPTER 05 25
ズズズズズ……ッ!
北米大陸の至る所、荒野に穿たれた100以上の古傷が、重苦しい地鳴りと共に口を開く。
地下の暗がりからせり上がってくるのは、星を殺すための黒い巨塔群だ。
複雑な建築プログラムを去勢され、ただ「増殖と捕食」という原始的な飢餓だけを実装された最悪の弾頭が、100基以上、天を仰いで林立する。
「全弾発射!この宇宙を、俺たちの色に塗り替えてやれ!」
号令と共に点火信号が走る。轟音。大地を焦がす灼熱の噴射炎。
100本の白煙の柱が空へと突き刺さり、回避不能な死の宣告が宇宙へ向けて放たれた――まさに、
その直後だった。
*
同時刻。アフリカ、ニュー・ジャマメの廃墟。
瓦礫の山と化した総統府跡地で、イムノの懐から唐突に電子音が鳴り響いた。
取り上げたスマートフォンが、聞き覚えのある甲高い声を吐き出す。
『――聞こえるでちゅか!?おせち、聞こえるでちゅか!マクロブランクでちゅ!』
「マクロ? どうしたの、そんなに慌てて」 おせちが問いかけると、向こう側の焦燥がそのまま伝染するように、スピーカーが激しく震えた。
『緊急事態でちゅ!WCWCの連中、ナノマシンが停止したことに逆上して……すでに完成している分のミサイルを、無理やり撃とうとしてるでちゅよ!』
「ミサイル!?でも、そこに積んでるナノマシンは『レディオヘッド』の権限があれば停止できるはずじゃ……」
『レディオヘッドで止められるのは、あくまで地球圏のネットワーク内だけなのでちゅ!奴らが撃とうとしているのは星間弾道弾、その数100基以上!標的は地球じゃなくて……宇宙そのものでちゅ!奴ら、制御の外れたナノマシンを搭載した弾頭を、宇宙全体に向けて無差別にばら撒く気でちゅよ!』
「宇宙に……!?」
その場にいた全員の顔色が凍りつく。それは特定の都市を破壊するよりもタチが悪い。
自己増殖するナノマシンが制御なしに真空中へ放出されれば、触れた天体を片っ端から食らい尽くし、
指数関数的に増え続ける「宇宙の癌」となる。
『1発でもどこかの星に着弾したら終わりでちゅ!連鎖的に増殖して、その星が次のミサイルと発射基地にされて、いずれこの宇宙そのものが飲み込まれるでちゅ!今のわちきたちには、あれを全部撃ち落とす手立てがないでちゅよ!』
電話越しに響く悲鳴など、今の彼女には届かない。
「――」
北西の空を見上げれば、今しも、地平の彼方から無数の光点が、逆巻く流星群のごとく地上から天へ駆け上がろうとしているからだ。




