issue#05 I I I Why Can't We Be Friends? CHAPTER 05 23
「事故やトラブルじゃねえ。……『鍵』そのものが、誰かの手に渡ったな?」
マミーDは、すかさずメインモニターのチャンネルを切り替える。北米の荒野を映していた画面が、
ノイズを挟んで切り替わる。そこに映し出されたのは、この事態の震源地――ニュー・ジャマメの惨状だった。
白亜の総統府は跡形もなく消え失せ、代わりにそこにあるのは、赤土の巨神を背景に抱く瓦礫の山。
そして、その頂点に立ち、この大陸の方角を睨み据える、1度は退けたはずの「正義の味方」たちの姿。
だが、マミーDの視線が食い入るように見つめたのは、その中央にいる英雄たちではない。
列の端、瓦礫の陰に隠れるようにして並ぶ、見覚えのある獣人と鳥――ハヴォック、プロディジー、そしてカーディBの姿だった。かつての雇い主たちが、敵陣営に尻尾を振って収まっている。その構図が意味するところは、明白だった。
「……ハッ!なるほどなァ」
マミーDは、状況のすべてを悟り、獰猛に口角を吊り上げた。
「契約破棄だ。……施主が寝返ったんじゃあ、ここからは俺たちの好きにさせてもらうぜ!」
*
「親方ァ!ナノマシンの制御率が低下してます!このままじゃ『竣工』はおろか、現状復帰も間に合いませんぜ!」
管制ユニットを幹として、枝葉のごとく展開された光子モニターのひとつ。
そこから、チコ・カリートの悲鳴に近い報告が飛び込んでくる。だが、マミーDはそれを食い気味に、
ドスを利かせた怒号でねじ伏せた。
「うるせぇ!地上の造成なんざ、もうどうでもいい!」
「は、はぁ!?」
「状況が変わった。……施主が逃げやがったんだよ。あろうことか、商売敵の『カルテット・マジコ』と手を組んでな」
その言葉に、回線越しのメンバー全員が息を呑む。施主の寝返り。それは、
この現場における正当性の消失と、報酬の完全な踏み倒しを意味していた。
「予定変更だ。ここからは『仕事』と『落とし前』の二正面作戦でいく。動かせるモンを全部動かして、俺たちのとっておきだけは何が何でも完工させる。……その上で、裏切り者のテラー・スクワッドどもにゃあ、きっちりと違約金を払ってもらうぞ」




