issue#05 I I I Why Can't We Be Friends? CHAPTER 05 22
北米大陸、フューチャー・ラボ。地平の果てまで銀色の幾何学模様に覆われた巨大な実験場に、
唐突な静寂が訪れた。
重機たちが唸りを上げ、ナノマシンの大地が海面のごとくうねり、地形をリアルタイムで書き換え続けていた光景が、ふいに停止する。足元を流れていた銀色の流体は、波打つ形状を保ったまま灰色の砂礫となり、建設途中だった摩天楼は半端な形のまま石化し、重力制御を失った資材がバラバラと落下して土煙を上げた。
マミーDのスマートウォッチに、エラーを告げる乾いた電子音が鳴り響く。
コンソールには『接続断絶』の赤い文字が、視界を埋め尽くすほどに並んでいた。
「……あン?」
彼は舌打ちし、被っていた安全ヘルメットを腹立たしげに地面に投げ捨てる。
「チッ……!テラー・スクワッドの野郎ども、また何かやらかしやがったか?いい加減あいつらも、
消した方がいい頃合いってコトか――」
状況は明白に見えた。ナノマシンの統御権が、システムエラーやバグで奪われかけている。
彼は多脚ユニットを操り、管制ユニットの前へと跳躍する。苛立ち紛れに光子キーボードを叩き、
回線不良の原因をその場で究明にかかる。そして、ホログラムとして投影された解析結果を目の当たりにした瞬間、そのゴーグルの奥の目を険しく細めた。
「……いや。違うぜコレは」
『制御権限:競合中』。
表示された文字列は、あちら側――テラー・スクワッドが管理しているはずのマスターキーが、外部から強引に、かつ正確に操作されている事実を示していた。




