issue#05 I I I Why Can't We Be Friends? CHAPTER 05 21
「よくぞ、無事で……。待たせおって、このバカ娘どもが」
尊は万感の思いを込めて声を震わせ、愛娘たちの頭を、わしゃわしゃと乱暴に、
しかし愛おしげに撫で回す。互いの体温と、無事を確かめ合う確かな感触が、
空白の2ヶ月間を一瞬で埋めていく。それは戦場における、あまりに短く、
そして尊い家族の再会だった。
「……おっと!感動の再会中、お邪魔するぜぇ!」
その余韻をぶち壊すように、場違いな荒い息遣いが割り込んでくる。
瓦礫の斜面を、汗だくになって駆け下りてきたのは、窮屈なスーツやバスローブをかなぐり捨て、
いつもの薄汚れたタンクトップやニッカポッカ姿に戻ったハヴォックとプロディジー。
そして、肩で息をするカーディBの、「テラー・スクワッド」幹部一同だった。
彼らが「手土産」として担いできたものを見て、全員が目を丸くする。
「……これって、もしかして。シャカゾンビの……ニセモノ!」
ミーティスが指差した先。ハヴォックが右足、プロディジーが左腕を雑に掴んで運んできたのは、
電源の落ちたシャカゾンビのAIロボット――レディオヘッドだった。 関節の力が抜け、
首をガクガクと揺らしながら運ばれるその姿は、理科室から廃棄される人体模型そのものだ。
「ゼェ、ハァ……!ああ、こいつもキッチリ回収してきたぜ!ただのポンコツじゃねェ、
ナノマシンのマスターキーだ。……今、WCWCに対抗できる地球上で1番価値のある『VIP』だからな!」
カーディBが息も絶え絶えに喚く。彼らは彼らなりに、保身とプライドを天秤にかけ、
ギリギリの判断でこちらの陣営に賭けたのだ。
「……ふん。心がけだけは褒めてやろう」
オールラウンダーは、かつての敵対者たちが差し出した「鍵」を一瞥し、鼻を鳴らした。
場は整った。 カルテット・マジコ。オールラウンダー。テラリアの王夫妻。そして、
亡命してきたテラー・スクワッド。かつては敵味方に分かれて争った者たちが、
今、共通の敵である「WCWC」を討つために、奇妙な呉越同舟の陣形を組んでいる。
「さて、と。感動のハグも済んだことだし、仕事の時間だ」
ホットショットが、オールラウンダーの腕から離れ、ニカっと笑って前髪をかき上げる。
彼女は瓦礫の頂点に立ち、西の空――遥か彼方の北米大陸の方角を、真剣な眼差しで睨み据えた。




