issue#05 I I I Why Can't We Be Friends? CHAPTER 05 20
滑らかなテラコッタの肌を持つ巨神が、地表への出口をこじ開けるべく、
総統府のビルを無造作に肩で突き上げる。その負荷に耐えかねた白亜の摩天楼は、へし折れるというよりは、半ばから爆ぜた。四角錐の断裂面から噴き出したのは、粉砕されたコンクリートと鉄骨の激流だ。人類の叡智と搾取の結晶は、まさに火山のごとき勢いで瓦礫を天へ吐き出し、かつてシャカゾンビが君臨した執務室も、豪奢な会議室も、巨神の目覚めを彩る破片の吹雪となって四散していった。
「ギャハハハハ!狭ェ!狭ェんだよ、地上のウサギ小屋はよォ!」
崩壊するビルの粉塵を浴びながら、テラリアクイーンは無人のメガフロートへ向け、
勝ち誇った哄笑を叩きつける。彼女の巨大な肩。瓦礫の雪化粧を施されたその稜線に、
仁王立ちする2つの影があった。
一方は、全身から灼熱の溶岩を滴らせ、剥き出しの敵意をぎらつかせる岩の怪物、テラリアキング。
対するもう一方は、着物の裾を風にはためかせ、七支刀「おたつ」と「たかき」を自然体で携える、オールラウンダー。
かつては互いの存亡を賭して争った、不倶戴天の宿敵同士。
だが今、彼らは同じ瓦礫の頂に並び立ち、共通の敵が築き上げた文明の墓標を見下ろしている。
キングは、体に降り積もる白亜の石片を苛烈な発熱で焼き払い、
隣に立つかつての仇敵へ、皮肉たっぷりに吐き捨てた。
「へッ!まさかオメエと手を組むことになるとはな!」
その言葉を受け、オールラウンダーは舞い上がる土煙を刀の風圧で切り払い、
涼しい顔で肩をすくめる。眼下に広がる混乱と破壊のパノラマを、
手入れ不足の盆栽でも眺めるような眼差しで見やり、彼女はフンと鼻を鳴らした。
「まったくのう。……『袖すり合うも他生の縁』とは言うが、こうも度々すり合うては、着物をすぐ買い替えることになってかなわんわ」
ババ臭い、しかし肝の座りきったその減らず口。オールラウンダーは神刀の切っ先をゆっくりと水平に――大西洋の彼方、「敵の本丸」へと突きつける。
「さあ、行くぞ!借りっ放しは性分でなくてな。……倍にして返してやる!」
赤土の巨神が巻き上げた粉塵が、熱帯の風にさらわれていく。
瓦礫の山と化した総統府跡地。その荒涼たる風景の中心に、この星の命運を握る役者が集結しようとしていた。
「ママッ!!」
「アシュリー!」
空から舞い降りたホットショットと、崩壊した広場で待ち構えていたミーティス、イムノ、スヌープキャット。娘たちの影が、磁石に引かれるように母・オールラウンダーのもとへと殺到する。
オールラウンダーは、泥と煤にまみれた着物の袖を大きく広げ、飛び込んできた娘たちを、まとめてその腕の中へ受け止める。




