issue#05 I I I Why Can't We Be Friends? CHAPTER 05 19
ガラスの散乱する大会議室――これにて完全な無人と化した総統府に、死のごとき静寂が満ちた。
しかし、その静けさは嵐の去ったあとの平穏とはかけ離れている。惑星という器そのものが内側から限界まで張り詰め、ついには悲鳴を上げはじめる、その前兆としての沈黙に他ならない。
ズゥゥゥゥン……。
異変はまず、鼓膜ではなく骨を震わせる地響きとして伝播した。
卓上のコーヒーカップに黒い波紋が走り、壁の絵画が怯えたようにカタカタと震えだす。
破滅の足音は地底から這い上がってきた。超高層ビルの基礎たる巨大な鉄骨群が、
規格外の負荷に軋み、断末魔のごとき金属音を奏で始める。
「な、なんだ!?」
船から、橋から。人工島からの避難を続ける人々が、色を失って、自分たちの出てきた島の姿を見る。
次の瞬間、世界政府の象徴たる白亜の金字塔が、内側から破裂するように隆起した。
ドッッッ――!!!
ゴォォォォォォォン!!
それは、単なる爆音の域を遥かに凌駕していた。地殻変動そのものが都市の1点に凝縮され、
噴出したかのごとき破壊エネルギーの奔流。総統府の基部、堅牢なナノコンポジット装甲で守られたエントランスホールが、紙細工さながらに粉砕される。
大地を割り、噴き上がる破片の白を演出として現れたのは、茶褐色の絶壁と見紛う巨大な体だった。
人間の尺度などあざ笑う、途方もないスケールの威容。地下深層の檻に封じられていた地底の女王テラリアクイーンが、幾重にも施されていた拘束を引きちぎり、地上へとその巨躯をねじ込んできたのである。




