表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カルテット・マジコ  作者: piku2dgod
Issue#05 I I I Why Can't We Be Friends?

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
636/686

issue#05 I I I Why Can't We Be Friends? CHAPTER 05 16

「おかーさん!?」

床にへばりついた紙片が、圧壊寸前、その1点で永遠に安定するこの場の空気を震わせた。


「……さな。そこにいるのは、さなじゃな?」

呼びかけに応じたのは、対面の壁に張り付けられた白い繭だ。幾重にも巻き付いた拘束帯の隙間から、尊が濁った眼光を向けている。高重力に押しつぶされ、胸の空気を入れ替えることすら重労働となる環境下で、その声だけは確かな輪郭を保っていた。


「ようやく戻りおったか。……親を待たせるにも限度があるぞ」

「うん、ただいま。ごめん、ちょっと寄り道しすぎちゃった」

札から響く少女の声は、この殺伐とした拷問部屋には似つかわしくないほど、

日常の延長にある軽やかさを帯びていた。その能天気さが、

逆に尊の張り詰めていた神経をわずかに緩める。


「……他の子らも……みな、怪我はしとらんか?」

「ピンピンしてるよ!蛇蝎山の転送装置で宇宙まで飛ばされちゃったけど、向こうの星でいろいろ頑張ってきたの!」

荒唐無稽な旅路の報告に、尊は呆れたように息を吐こうとして、重力に阻まれて咳き込んだ。

全身が悲鳴を上げる中、苦笑いだけを顔面に貼り付ける。


「呆れた話じゃ……。お前たちが呑気に星巡りをしておる間に、こっちはこのザマよ。地球はあらかた、奴らの手の中じゃ」

「それをね!今から全部なんとかするの。そのためにここまできたんだから」

さなの言葉には、根拠のない楽観ではなく、鋼のような意志が宿っていた。

その響きが、死にかけていた尊の細胞に活力を注ぎ込む。


「マクちゃんに対策は全部教えてもらったから。今から地下の中枢システムを止めに行ってくるね」

「……ほう」

「すぐに戦いになるけど……おかあさんは大丈夫?」

娘のあどけない問いに、尊は拘束帯の中で四肢に力を込めた。

ミシミシと繊維が悲鳴を上げ、白い繭が内側からの圧力で歪む。


「愚問じゃ」

カッ、と尊の瞳が見開かれ、かつての女傑としての覇気が蘇る。


「我が子のため、世界のためとあらば、骨が砕けていようと立つわ。……ここまで来れたということは、大方の状況は飲み込めておるな?隣の部屋に転がされておるジジイとババアは、わしが叩き起して説得してやる」


「ただ、システムの制御が終わったら――」


「え?」

「ひとつ頼みが、その札、腰に貼ってくれんか。湿布代わりにな……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ