issue#05 I I I Why Can't We Be Friends? CHAPTER 05 14
行く手を阻むのは、隔壁と呼ぶにはあまりに分厚い装甲の塊だ。
表面には工事現場の規制線を思わせる黒と黄の警戒色が、帯のように施されている。
塗装はどこも真新しく、その下から覗く冷ややかな金属色が、
この扉の向こう側に隔離された存在の危険度を無言のうちに物語っていた。
その威圧的な鋼鉄の壁に対し、ふわりと頼りなく接近する影が1つ。
耳目符だ。 質量を持たないかのように宙を滑るその紙片は、扉の横に設置された電子コンソールへと取り付く。硬質なタッチパネルに対し、紙でできた札の角が、小気味よいリズムで打ち付けられた。
それはまるで、目上の相手に対して何度も頭を下げる律儀な会釈のようであり、あるいはキツツキの巣作りのようでもある。電子音と、紙が触れる乾いた音が不釣り合いな和音を奏でる。
やがて、コンソールのインジケーターが拒絶の赤から許容の緑へと変わる。
ズゥン、という重低音が床を震わせた。扉の中央、厳重に噛み合わされていたロック機構が動き出す。
それは角ばった「コ」の字型の鋼材が互い違いに重なり合った形状をしていた。
油圧シリンダーが唸りを上げ、左右の金属パーツがスライドを開始する。
分厚い扉が左右の壁へと吸い込まれるにつれ、内部に閉じ込められていた濃密な気配が、
通路へとあふれ出した。




