issue#05 I I I Why Can't We Be Friends? CHAPTER 05 10
ニュー・ジャマメ市街。 赤道直下の苛烈な日光を背に、天頂を貫く「光の縫い針」――軌道エレベーターが、神話的な影を落としている。いくつもの銀に染まったパラソルが展開され、中央には不自然な青さを湛えた噴水が存在する広場。ジュラルミン質の外壁を持つ円筒形の高層ビル群に囲まれた、
そのハイテクな空間の片隅に、周囲の洗練された景観に対する冒涜のごとき物がひとつ、
堂々と幅を取っていた。
それは、目が覚めるようなショッキングピンクに全塗装された、大型のアイスクリームバンだった。
車体側面には、スプレーアートのごとき極彩色のタギングやグラフィティが奔放に躍り、屋根に乗ったバニラアイスのオブジェの上には、これまた巨大なスピーカーが雑に括り付けられている。そこから垂れ流されているのは、電池が切れかけたような間の抜けた電子音のジングル。
どう好意的に解釈しても、「まともな商売」の気配はしない。
その狭苦しいカウンターの中で、さらに怪しさを煮詰めたような3人組が、せっせと客を捌いていた。
「はいよ、ダブルチョコ・ナッツマシマシだ。……おい、受け取ったらさっさと行け。溶けるぞ」
売り子を務めるのは、目深にかぶったキャップ、顔半分を覆う黒マスク、そして車内でも外さない濃いサングラスという、指名手配犯のお手本のような風体のアシュリーだ。
彼女は極めて不愛想にアイスを突き出し、客の子供が去るや否や、売り物であるはずのトッピング用のクッキーを、商品から失敬して自分の口へ放り込んだ。
「ダメだよアシュリー!つまみ食いしちゃ!原価率の計算が合わなくなる!」
奥でレジを打つおせちもまた、同じような不審者スタイルで電卓を叩いている。彼女の手元には、硬貨と紙幣が山積みになっていた。怪しすぎる店構えとは裏腹に、この酷暑の中、キンキンに冷やされたアイスクリームは、飛ぶように売れていたのだ。
「いいだろうが。どうせ稼ぎなんて二の次だろ」
「形から入るのが大事なの!私たちは今、善良な市民なんだからね!」




