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カルテット・マジコ  作者: piku2dgod
Issue#05 I I I Why Can't We Be Friends?

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issue#05 I I I Why Can't We Be Friends? CHAPTER 05 01

CHAPTER 5



アフリカ大陸の東端、赤道直下に位置するニュー・ジャマメ。白亜の摩天楼が競い合うように天を突き刺すこの都市は、今日も熱帯の凶暴な陽射しを冷ややかに受け流している。テラー・スクワッドによる完全な管理体制下、今やその光景は、人々の営みがある都市というよりは、極度に洗練された巨大な墓標のように見なせるものだった。


キィィィィイインッ――!


その白く乾いた空を切り裂き、1機の飛翔体が降下する。旧時代の回転翼を持たない、最新鋭の外交用機だ。機体の下部に接続された、白い光沢を放つ重力制御リングが、陽炎のように周囲の大気を歪ませる。風切り音ひとつ立てない不気味なほどの隠密性で、機体は都市の中枢――世界連邦本部から「地球統一政府総統府」へと改称された、屋上のポートへと滑り込んだ。


減圧音と共に、気密ハッチが開放される。ビルの屋上が、来訪者を迎えるように規則正しい明滅パターンで発光した。タラップの先に敷かれたのは、血のような深紅の布ではない。空間に直接投影された、粒子の光が織りなすホログラムの道だ。その幻想的な光の上を、ひとりの女性が、ピンと背筋を伸ばして歩み出る。


ネ=レネ・ココ。 星間条約機構・地球文明担当特命駐在官。


この日のために用意された彼女の装いは、一分の隙もなかった。地球のフォーマルな礼装と、銀河外交の機能美を融合させた、紺色のパンツスーツ。襟元には、条約機構の威信を示す「三連の恒星」を象ったプラチナのブローチが明々と輝き、手には外交特権の象徴である電子杖が握られている。細胞操作によって美しく整えられた、柔らかな栗色の髪鰭(かみひれ)には一際の手入れがされ、知的なロイド眼鏡の奥に光る瞳は、いささかの動揺も見せず、出迎えに整列した無機質な武装ドロイドの列を見据えていた。


(……震えてはいけません。私は今、全銀河の意志を背負ってここに立っているのです)

ネ=レネは、肋骨を叩く心臓の早鐘を、鉄の意志でねじ伏せる。これは、カルテット・マジコが立案した、起死回生の「正攻法」だ。


すなわち――『星間条約への正式加盟打診』そして、その奥にある『シャカゾンビAIの完全破壊作戦』。


テラー・スクワッドが支配する現行の独裁政府に対し、あえて正規の外交手続きに則り、銀河社会への扉を開いてみせる。「貴殿の統治を暫定的に認め、対話の席に着こう」という甘美な蜜を垂らすことで、

彼らを直接、邪魔の入らない対談の場所に誘い出す作戦だ。


「……ようこそおいでくださいました、特使殿」

エレベーターホール。出迎えの儀仗兵ドロイドが、合成音声にあわせ恭しく頭を下げる。ネ=レネは、懐に秘めた霊符の鼓動を加護のように感じつつ、

外交官としての完璧な仮面を被り、優雅に頷いてみせた。


「お出迎え感謝します。総統閣下への謁見を。……地球の未来に関わる、極めて重要なお話があります」

彼女は1歩、踏み出す。それは、虎口へと自ら頭を差し入れるに等しい、命がけの「表敬訪問」であった。


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