issue#05 I I I Why Can't We Be Friends? CHAPTER 04 53
「で、その『毒』ってのはいつ回るんだ?放っときゃ勝手に自壊するのか?それとも『クラブ史上最高額の移籍金』っていう鳴り物入りで入団しといて、0G0Aのままスペってシーズンアウトする大型補強みたいにいきなりその日がくるのか?」
アシュリーが腕を組み、画面の中で流暢に演説を続ける偽の独裁者を睨みつける。
マクロブランクは、痛む腰をさすりながらニヤリと笑った。その笑みには、
技術者だけが抱く陰湿な愉悦が滲んでいる。
「放っておいてもいずれは壊れるでちゅが……もっと劇的に、そして確実に息の根を止める方法があるでちゅ。それは『対話』でちゅ」
「対話?」
はちるが首を傾げる。
「おしゃべりするってこと?」
「そうでちゅ。今のあいつは、外見こそ最新鋭の演算装置に見えるでちゅが、中身はわちきの細工によって退化させられているのでちゅよ。……お前たち、歴史の教科書で見たことがあるんじゃないでちゅか?
2020年代、AIの黎明期に存在した『対話型AI』というやつを」
おせちがハッとして顔を上げた。
「……大規模言語モデル(LLM)のこと?膨大なデータを学習して、
人間のように振る舞うけど、嘘もつくし、長時間の対話で整合性を失うっていう……」
「ご名答でちゅ!」
マクロブランクが触手で指を鳴らす。
「今の偽シャカゾンビの状態は、まさにそれと同じなんでちゅ。もっともらしいことを言うのは得意でちゅが、その思考回路は脆弱そのもの。話せば話すほど、外部からの入力が増えれば増えるほど、
処理しきれない矛盾が蓄積し、加速度的に壊れていく……そういう構造に書き換えておいたのでちゅ」
彼は画面の中の威厳ある姿を指差し、嘲るように言った。
「ヤツは今、薄氷の上に立って演説しているようなものでちゅ。誰かが公の場で、奴と徹底的に『会話』をし、論理の迷路に引きずり込めば……奴の知性は『幻覚』を起こし、全世界の前で支離滅裂な狂態を晒すことになるでちゅよ!」




