issue#05 I I I Why Can't We Be Friends? CHAPTER 04 49
日記
アルゼンチン対カーボベルデ
この先のトーナメントを計算に入れざるを得ない王者と
ここが決勝のつもりのカーボベルデ
両者の思惑がある意味で噛み合った結果今回のワールドカップで何よりも素晴らしい試合が生まれた
カーボベルデ代表の皆さん 胸を張って帰ってください
あなたたちの奮闘は受け得る全ての称賛に値します
マクロブランクは、スチームクリーナーを構えるはちるの股下を、ピンク色の魚雷のようにすり抜ける。
「うわっ!?」
はちるは、悲鳴を上げて飛びのいた。構わず疾走した彼は、濡れた体のままちゃぶ台へと跳躍し、
着地と同時にヌメリのある触手でリモコンの電源ボタンを強打した。
「おっ、……ちょうど映ったでちゅ!」
「――見るでちゅよ、お前たち!これが世界の真実でちゅ!」
彼が興奮気味に呼びかけると、風呂上がりのジャージ姿になったアシュリーを含め、全員が訝しげにテレビの前へと集まってくる。画面に映し出されたのは、今日もまた一つ、危うい積み木をこの世界に対して重ねるように身勝手な法令を布告する、独裁者シャカゾンビの姿だ。 威厳に満ちた表情、完璧な抑揚。だが、マクロブランクは濡れた触手で画面をぺちぺちと叩きながら断言した。
「毎日こうやって演説してるシャカゾンビは、ただの精巧な張りぼて……偽者のAIでちゅ。オリジナルは、とぉ~~~っくの昔に宇宙の彼方までぶっ飛ばされまちた!」
「……は?」
「どういうこと?」
おせちが眉をひそめて問いただす。 マクロブランクは、ここぞとばかりに胸を張った――もっとも、彼に胸などないのだが。
「WCWCとの契約不履行でちゅよ!地球全土にナノマシンをばらまく対価として、奴らは『ハート・オブ・アース』の譲渡を要求しまちた。けど、シャカゾンビはその対価を払えなかった。
だから反乱を起こされ、用済みとして処分されたのでちゅ!その後釜として、わちきと、テラー・スクワッドのお間抜けアニマルども、それに宇宙マーモット軍団による三権分立体制が敷かれ、この偽シャカゾンビを使って地球政府の運営を回していた……そういうわけでちゅ。
このAIの思考ルーチンを必死に調整して、バレないように演技させてたのは、他ならぬこの天才マクロブランク様なんでちゅよ!」
得意げに鼻を鳴らす元・支配者層の一角。 だが、その誇らしげな演説に対し、鬢の髪をかき上げたアシュリーが冷徹な一言を突き刺した。
「ふーん。で、結局お前も用済みになって捨てられたんだ?」
嘲笑と憐憫が入り混じった、あまりにも鋭利なツッコミ。
その一撃に、マクロブランクの動きがピタリと止まった。
「違うでちゅ!わちきのオペレーションにミスなど存在しまちぇん!24時間中いつどの場面を切り取ってもそれはもう完璧な仕事ぶりだったと追懐できまちゅ!」
マクロブランクは濡れた触手を振り回し、心外だとばかりに反論する。
だが、アシュリーは濡れた髪をタオルで乱暴に拭きながら、冷ややかな視線で彼を射抜き続けた。
「へえ、完璧なぁ。じゃあ何だ?有能すぎて『今月のMVP』を獲りすぎたから、他の奴らに気を使って自分からゴミ箱にダイブしたってか?随分と謙虚なことだな」
「……ぐぬぅ」
痛いところを突かれたマクロブランクは、言葉に詰まって視線をそらす。




