issue#05 I I I Why Can't We Be Friends? CHAPTER 04 48
アシュリーという最大の被害者が、乙女の尊厳と衛生を取り戻すべく浴室へと隔離された後の現場は、一種の災害復旧作業の様相を呈していた。
換気扇が全開で唸りを上げ、淀んだ空気を強制排除する。さらに外の空気を招き入れるべく、
障子戸と窓は思い切り開放されていた。その寒風吹きすさぶ中、はちるは業務用のスチームクリーナーを農具のように構え、畳の目に入り込んだ惨劇の痕跡を執拗なまでに追跡していた。
「シュゴオオオオ……ッ!」
高温の蒸気が噴き出し、殺菌と消臭の白煙が上がる。
一方、避難させた調度品や、不運にも被弾して廊下へ退避させた小物類に対し、さな、おせち、そしてネ=レネの3人は、黙々と雑巾を動かし続けている。誰の口からも、怒声も文句も漏れない。
彼女たちは、ただ淡々と、起きてしまった悲劇をなかったことにするためだけに手を動かす。
その背中は、熟練の清掃員のような手際と、修行僧のような達観を漂わせていた。
そこへ、ペタ、ペタ、ペタ、と。濡れた吸盤がフローリングを叩く、小気味よい足音が廊下の奥から急速に近づいてくる。
「ひどい目にあったでちゅ……!でも、これでスッキリでちゅよ!」
洗面所のシンクで自ら丸洗いを済ませたマクロブランクが、4本の触手を器用に使って駆け戻ってきた。
表面の汚れは落ち、再び鮮やかなピンク色を取り戻している。だが、彼には「タオルで拭く」という概念も、そのための道具も欠落していた。その全身からは滴るほどの水滴が溢れ、せっかく拭き清められたばかりの廊下に、新たな水の道を描き出しながらリビングへの再侵入を果たした。




