issue#05 I I I Why Can't We Be Friends? CHAPTER 04 46
日記
ワールドカップ決勝ラウンド初得点がPKというところに
クリロナのクリロナらしいところが全部詰まってていいと思いました
その光景を数歩離れた位置から眺めていたネ=レネは、整った眉をわずかに寄せ、
理解が追いつかないといった風情で小首を傾げた。
「……おせちさん。この方が、その、例の『お友達』……ですか?私でさえ見たことがない種族の方です」
彼女の瞳には、困惑と、ほんの少しの怪訝さが浮かんでいる。脳味噌にタコの触手が生えた生物が、
フライドチキンを頬張りながら美少女に世話を焼かれているのだ。
深窓の令嬢としての教養には存在しない光景だろう。
視線を向けられたおせちは、バツが悪そうに視線を泳がせた。
「ま、まあ……いちお、ね」
曖昧に言葉を濁すおせち。すると、自分の話題が出ていることに気づいたマクロブランクが、
口の周りを油でベタベタにしたまま、ネ=レネの方へ向き直った。
「マクロブランクといいまちゅ。よろしくお願いしまちゅ」
彼は殊勝な挨拶と共に、右の触手をすっと差し出す。そこには、無残な歯型がついた、
食べかけのLチキが握られていた。彼なりの最大限の友好の証。それを突きつけられたネ=レネは、
言葉を失うがままにそれを受け渡されて、ただ瞬きを繰り返すことしかできなかった。
*
部屋に充満していたドライヤーの駆動音が、ふつりと途絶えた。さなはスイッチを切り、
温まったマクロブランクの脳回を指先で優しく整えながら、核心を問うタイミングを見計らう。
「……あのね、マクちゃん」
彼女の声は、髪を乾かす時と変わらない柔らかなトーンだったが、そこには友人としての心配と、
事態を重く見る緊張感が同居していた。
「今まで、どこに行ってたの? ……もしかして、ずっと『シャカゾンビ』と一緒にいたの?」
その名が出た瞬間、マクロブランクの触手がぴくりと強張った。彼は食べかけのチキンを抱えたまま、
バツが悪そうに視線を畳へと落とす。
「……いたには、いたでちゅ。あいつの城の、1番いい部屋にいたでちゅ」
「やっぱり……」
おせちが小さく息を呑む。だが、マクロブランクは慌てて首を振り、
言い訳をするように言葉を継いだ。
「でも!奴はもう、あそこにはいないでちゅよ!ヤツは消えたでちゅ。そして……わちきも用済みってことで、追い出されちゃったんでちゅ……」
「――え?」
その場にいた5人――アシュリー、さな、はちる、おせち、そしてネ=レネの思考が完全に停止した。
……宿敵シャカゾンビが、いない?




