issue#05 I I I Why Can't We Be Friends? CHAPTER 04 35
マミーDは安全ヘルメットの縁を指で整え、肺いっぱいに葉巻の煙を吸い込むと、気合いを入れるように声を張り上げた。
「よし野郎ども!手待ちはここまでだ。段取りは全部ついた――今この瞬間から、本工事に移るぜぇ!」
ダミ声の号令は、電子の波となって大陸各地の重機へと伝わり、3人の幹部たちのコンソールに同時に響き渡る。
『了解ッス!』
最初に応じたのは、チコ・カリートだった。
画面の中で、彼は重機の操縦桿に片手を預け、もう片方の腕をコックピットの縁に引っ掛けて、
眼下の光景を見下ろしている。カタツムリじみた双眸が、それぞれ別の方角を走査していた。
その視線の先に広がるのは、銀色の外壁だけで構成された壮麗な無人の摩天楼群。窓の奥に人影はない。車も走っていない。クロムメッキの光沢だけが支配する、史上最大のゴーストタウン。その足元を、
何1000台ものショベルカーが、獲物を囲む狼の群れのようにじりじりと包囲している。
油圧のアームが微かに揺れるたび、バケットの爪先が銀の壁面に影を落とした。
いつその輝きを剥ぎ取り、更地へ叩き戻してやろうかと、鉄の群れが息を詰めて合図を待っている。
『いよいよ本番なんすか!?やったー!!』
画面が切り替わる。
ミーガンが笑っていた。操縦席に深く腰を沈め、片膝を立て、フーセンガムを膨らませながら。その唇の端が、不敵に吊り上がっている。
背後の景色がおかしかった。夕焼けの空に、もう1つ太陽が昇っている――ように見えた。制御された核爆発だ。鮮烈な白の球体が膨張し、数秒遅れてキノコ雲の茎が地表から天頂へ向かって伸び上がっていく。オレンジの夕景と、白の閃光が、彼女のシルエットを2方向から同時に照らしていた。
熱閃と衝撃波が、コックピットを囲む特殊仕様の重機シールドに叩きつけられる。
透明な膜が衝撃を吸って撓み、虹色の干渉縞を一瞬だけ走らせて、何事もなかったかのように元の形に戻った。その内側、ミーガンの足元に据えられた観測機器のメーター群が、針を振り切らんばかりに跳ね上がっている。破壊エネルギーの数値が、アーケードゲームのハイスコアみたいな勢いで桁を更新し続けていた。
『ん!』
最後の画面。ハイファナ。
彼は喋らない。返事の代わりに、4本の腕のうち右上の1本だけを軽く持ち上げた。それが、この寡黙な巨人の「了解」だった。
画面に映る大地が呼吸していた。一定の範囲で、地盤が際限なく隆起と沈降を繰り返している。円形に配置されたピアノの鍵盤のように休みなくうねる地表の上で、ハイファナの多脚重機だけが、波に乗るサーファーのような安定感で滑らかに移動し続けていた。4本の腕が、それぞれ独立した操縦桿を握っている。右上の腕が掘削を指示し、左下がリズムを読み、残る2本が姿勢制御に回る。その動きは、指揮者がオーケストラの4つのパートを同時にまとめ上げるような、無駄のない統率だった。地殻変動という名の楽譜を、彼は黙って捌いている。




