issue#05 I I I Why Can't We Be Friends? CHAPTER 04 33
一方、世界政府中枢部。 ハヴォック、プロディジー、カーディBらモブ・ディープと、
その同盟者WCWC。かつて彼らの頭脳として機能していたマクロブランクという共通の障害物を排除し、世界の頂点に居座った彼らの執務室。そこは、常に臨界点を超えた熱エネルギーと、
制御不能な欲望が噴き荒れる、活火山の火口そのものだった!
「オイ、骨野郎!スポア共和国に建設中の『俺専用・大泥沼』だが、泥の粘度が気に入らねぇ!ナノマシンで地下の水分含有率を書き換えて、もっとネットリした極上の泥質に変えろ!肌に吸い付くような”トロみ”が足りねぇんだよ!」
最高級のイタリア製スーツの縫い目が悲鳴を上げるほどに着崩し、はち切れんばかりの肉体を揺らすカバの獣人、ハヴォックが、革靴の底で宙を蹴り飛ばしながら怒号を上げる。
衝撃で火花が散り、筐体が歪む中、隣ではオカピの姿をしたプロディジーが、極太の葉巻をくゆらせ、
かつてのホスト時代を思わせる軽薄な手つきでシステムに注文をつけていた。
「ついでに、俺の経営する会員制カジノの照明演出も強化だ。衛星軌道上のミラーを動かして、
24時間365日、俺のビルだけに太陽光のスポットライトが当たるように設定しな。
……電気代? 知らねえよ、市民税を上げとけ。下々の生活より、俺の店の”映え”が優先だ」
彼らは、世界を管理する絶対的な演算装置「レディオヘッド」を、まるで居酒屋のタブレット端末か何かのように扱っている。そこに、整合性を保つための”調整役”はもういない。論理の破綻した、
剥き出しの欲望のコードだけが、ただ直列で叩き込まれていく。
「カァーッ!どいつもこいつもセコい注文ばかりしてんじゃねェよ!」
机の上に陣取ったカラス――カーディBが、耳をつんざく金切り声で割り込んだ。
彼は鋭い爪で空中のホログラム・キーボードを乱暴に引っ掻き、ノイズを撒き散らしながら、
偏執的なまでの同族愛をシステムへねじ込む。
「オイ!『光り物優先取得法』の施行はどうなってんだ! 世界中の宝石、ガラス、
アルミホイル……キラキラするモンは全部、俺らカラス族への貢ぎ物として集めさせろ!
人間どもに地面を這いつくばらせてでも探させるんだよ!」
「いやー、”教授”がいなくなってせいせいしたぜ。これでやっと、俺たちの本領発揮だ」
空間に投射された粗い粒子のホログラムは、北米「未来技術実証実験都市」の最前線とリアルタイムで直結している。背景では、大陸を削り取る巨大な重機の咆哮と、
爆破解体の衝撃音が絶え間なく鳴り響く。粉塵と紫煙を同時に撒き散らし、
WCWCの親方・マミーDは、現場監督のダミ声で、レディオヘッドへ理不尽な要求を突きつけた。




