issue#05 I I I Why Can't We Be Friends? CHAPTER 04 16
ガザクは脂汗を浮かべ、背後に立つ4人の侵入者たち――特に、無言の圧力を放つ獣人と、
不機嫌そうな赤髪の少女を交互に見回し、しどろもどろに答えた。
「……い、行き違いではない!」
「どういうことですか!?」
「そ、総督だ……」
ガザクは、観念したように視線を落とした。
「ゼ=ラクス・ヴァル総督が、クワウバンの本星を通じて……直々に。
我らに、地球への遠征要請を出したのだ」
「あの人……!!」
ネ=レネが強く額を押さえる。怒りを通り越し、その周到さと冷徹さに、
呆れて声も出ないようだった。
これは行き違いではない。総督は、最初からこの「マッチポンプ」を完遂させるために、
ネ=レネの頭越しに、より確実なルートで「悪役」を発注していたのだ。
*
「……動かねえな」
ハヴォックが、モニターに映し出された衛星軌道の映像を睨みつけ、苛ただしげに貧乏ゆすりをした。画面の中では、地球防衛の要となるゴチェヌコイ艦隊と、そこへ突入したはずの黄色いピックアップトラックの光点が、不気味なほどの膠着状態を保っている。閃光も、爆発も、デブリの飛散もない。
あるのは、真空の海に漂う重苦しい沈黙だけだ。
「おかしい……。おかしいぜ、これはァ!」
シャンデリアの上で、カーディBが翼をバサリと広げ、鋭い鳴き声を上げた。
「奴ら、何をしてやがる!とっくに開戦して、どっちかが宇宙の藻屑になってる頃合いだろ!
なんで撃ち合わねえ! なんで血が流れねえ!」
「まさか……」
プロディジーが、嫌な汗を額に浮かべて呟く。
「交渉……してるんじゃないっすかね?」
「交渉だぁ!?」
「ええ。あいつら口が達者っすからね。もしかして、俺たちが仕組んだ『共倒れ作戦』に気付いて……裏で手を組んだんじゃ……」
その仮説が投じられた瞬間、会議室の空気が凍りついた。
最悪のシナリオ。 もし、カルテット・マジコとゴチェヌコイが結託し、
その矛先をこの「地球統一政府」に向けてきたら?




