issue#05 I I I Why Can't We Be Friends? CHAPTER 04 15
「ならばヒューマンエラー……そして、仕様上の構造的欠陥ですな」
部下の報告を受け、ガザク艦長は琥珀色の染みが広がった軍服の襟を正し、
バツが悪そうに咳払いをした。あくまでシステムと部下のせいにする、
典型的な中間管理職の振る舞いだった。
「おそらく、担当官が通信ログの仕分けに失敗した上で、その強固なフィルタリング設定によりこちらへのポップアップがブロックされていたのだろう。いやぁ、まさか『作戦中止命令』を持った特使ご本人が、直接、旗艦へ乗り込んでくるとは……想定外のガッツだ」
ガザクは巨大な複眼の焦点をあえて外し、言い訳がましく両肩をすくめてみせた。
その仕草は、悪の艦隊司令官というよりは、クレーム対応に失敗した中間管理職の哀愁を漂わせている。
「すまんな、特使殿。かくなる理由により、貴殿の訴えは、司令部のデスクには1バイトたりとも届いていなかった」
「……っ!!」
ネ=レネは言葉を失い、あまりの理不尽さと怒りでわなわなと震え出した。
「と、とにかく、演出も脚本もいりません!私からの要請はただひとつ!
今すぐ、全艦隊をこの宙域から退避させてください!今すぐにです!」
「た、退避だと? バカを言うな。我らはまだ到着したばかりだぞ。
これから『威嚇射撃フェーズA』に移行し、現地の通信網をジャックして恐怖をさらに煽る……そういう手筈だ!」
「状況が変わったんです!現地の文明レベルと軍事力が、事前調査のデータと致命的に乖離しています!このままでは茶番では済まされない。本物の『戦争』になります!」
「はぁ?戦争?」
ガザクは素っ頓狂な声を上げた。
「はい。しかも、条約軍の完敗という形で終わるでしょう」
「おいおい、冗談だろう特使殿。ここは辺境の未開惑星だぞ?我らのシールドを抜ける兵器さえ……」
「あるんです!それも、1隻どころか艦隊ごと蒸発させるレベルのものが!向こうの黒幕はあの、ワールド・クラス・レッキン・クルーなんですからね」
ネ=レネの悲痛な叫びに、ガザクはようやく事の重大さを認識し始めたのか、その厳つい顔を引きつらせた。
「わ……WCWC!?そ、そんな馬鹿な……。だ、だが特使、私の一存では無理だ。契約が……」
「誰の承認を待っているのですか!現場における最高責任者は、特使である私のはずです!
それなのに、撤退命令も通信も無視して……あなたたちの行動は、正規のプロトコルから完全に逸脱していますよ!」
ネ=レネがたたみかける。




