issue#05 I I I Why Can't We Be Friends? CHAPTER 04 12
「……すべてが打算ではありません。あの場に限っては、総督もすべての気持ちを誠実に告げたと思います。しかし……あの人は根っからの商売人気質ですから。利用できる状況は、最大限に利用したでしょう」
ネ=レネは頭を抱え、ガタガタと震え出した。
「……」
一連の告白は、カルテット・マジコの4人に、宇宙社会そのものが抱える巨大な欺瞞と闇を、
まざまざと突きつけるものだった。正義の味方という仮面を被った、あまりにも悪質な自作自演。
銀河という舞台の裏側で糸を引く、冷徹な演出家の存在。
「とにかくまずい、一刻も早く彼らをこの宙域から退かせないと……!」
ネ=レネが顔を上げ、悲鳴に近い声を張り上げる。
「今の地球は……以前の地球とは違うんですよね?極端な排他主義と軍事力が支配している。そんな場所で『わかりやすい侵略者』が現れたら……」
「火に油、どころの話じゃないね」
おせちが、氷のように冷めた声で状況を分析し、ネ=レネの気持ちを引き取った。
「今の政情下で、地球人類の『団結』が促されるのは最悪もいいとこだよ。共通の敵を得た
独裁者がやることは歴史上決まっている。……確実に、絶滅戦争になる」
「あぁ……でももう、最悪の事態が起こってしまいました。艦隊は展開済みです。
どうしましょう、私、どうすれば……」
パニックに陥ったネ=レネは、すがるようにおせちの腕を掴んだ。指先が白くなるほどの力で、
彼女の、ピンクの縞々パジャマを握りしめる。
「ネ=レネ、落ち着いて。私を見て」
おせちは動じることなく、取り乱すネ=レネの両肩を強く掴み返した。
至近距離で、泳ぐ彼女の視線を自身の瞳で射抜くように捕捉する。
「とにかくひとつずつだよ。からまった紐を解くみたいに、ひとつずつ解決していこう。
まずは、目の前のゴチェヌコイに退いてもらう。これが最優先」
おせちは諭すように、しかし力強く言葉を重ねる。
「その上で、ネ=レネの身元を明かす。条約機構の卑劣な手口もすべて洗いざらい喋って、その上で……君が、正式に地球と条約で加盟の交渉をはじめていくしかない。ショートカットなしで、泥臭い正規の手順をイチからやってくだけさ」




