issue#04 I I I Tales from Topographic Oceans CHAPTER 05 04
アシュリーの軽口が引き金となり、惑星の意志は、今や明確に4人の少女たちだけへと向けられていた。
ストームジー、リキッド・ソーズ、クワウバンの総督は、水中を絶え間なく駆け巡る波動に身体を縫いとめられたまま、この神話的な対話の傍観者へと追いやられている。
おせちは、アシュリーを手で制し、泡を立てながら、1歩前に泳ぎ出た。
「私たちが、あなたが探している『楽園の創始者』です。そんな風な名前で呼ばれるのはちょっと恥ずかしいけど……私は吉濱おせち。あなたの目覚めを嬉しく思います」
《……そなたか。そなたたちの奏でた調和は、永い眠りの中で唯一の慰めとなってくれた》
「ありがとう。私たちも、君の上で過ごせた時間を幸福に思う。それで、君は私たちと何の話をしたいの?この星の未来っていうのはどういうこと?」
惑星の意志が、今度は彼女の背後にいる者たちを断罪するかのように響いた。
《我が体内において進められようとしている身勝手な開発の計画について、我はひとえにそれを拒絶する》
「――だそうですけど?どうします?」
おせちは水に身を預けたまま、凍りついているリキッド・ソーズとクワウバン総督の方へ皮肉げに振り返った。リキッド・ソーズは即座に両手を上げて降参の意を示す。
クワウバン総督も、潜水服のヘルメットの中から慌てて声を絞り出した。
「我々も、惑星の主権者たるオーシャンマン殿に全面的に同意いたします!」
彼らがめいめいの意思を示した、その時だった。さらにひとつ、上の要求が突き付けられる。
《加えてサブノーティカ、クワウバン。お前たちには、我が肉体からの退去を命ずる》
一瞬の硬直を経て、
「……おっと!」
リキッド・ソーズは、両手を広げた。やたら大げさな身振りで、水流に揺れる足をひらりと泳がせながら、あくまで軽妙な調子を装う。その目の奥に、わずかな計算と焦りを隠したまま、いつもの調子で口を開いた。
「それはちょっと聞き捨てならないな、オーシャンマン。僕たちが海の底で一から積み上げてきたこの国を、ここで丸ごと手放せって言うのかい?それはないぜ!」
《それを国と称しているのはお前たちだけだ。実相としては、我が肉体そのものだ》
オーシャンマンの意志は、彼の軽口を真正面から切り捨てる。
広間の水そのものが音を発す、そんな響きが、壁面と床を同時に震わせた。
《我が肉体を汚す菌どもよ。速やかに去れ。
今このとき、我が貴様らのような分別なき魂を即座に塵へ還さず、なお発言の機会を与えている――その事実こそ、最大限の慈悲と心得よ》




