issue#04 I I I Tales from Topographic Oceans CHAPTER 05 03
……その言葉に、まったく異なる反応を示した者がいる。アシュリーだ。
惑星がサブノーティカを「浅薄にして愚昧な微生物」と言い捨てたことで、このタイミングに、彼女は思わず口元に拳を当て、肩を揺らして笑いを噛み殺した。
リキッド・ソーズとクワウバン総督が、なお惑星の威圧に押さえつけられたまま身動きもできずにいる中で、ただ1人、この神話じみた状況をどこか他人事のように楽しんでいるのだ。
アシュリーは、いまだ頭を垂れたままのストームジーの背中に向かって、悪びれもなく声を投げた。
「ま、『アブズ』って名前はさ、ちょっとSteamで売ってるインディーゲーみたいだったよな?
ダサいとは言わないけど、厨二っぽいっていうか……ほら、ユーザー(惑星)だって実際ポカンとしてるだろ」
一拍置いて、さらに追い打ちをかける。
「……でもまあ、落ち込むなって。こういうデカい案件はさ、もっとC層とかT層に向けたベタなタイトルのほうがウケるんだよ。オーシャン・プラネット(海洋惑星)にでもかけてさ、『オーシャンマン』とか、な?」
空気を読まない軽口が、白亜の広間を独占する。
『4つの調和。我が皮相――白き浜辺――』――その断片的な手掛かりから、ストームジーの探し求める人物の正体にうすうす感づき始めていたおせちが、「……アシュリー!」と制止の声を上げるよりも早く、
《……その声だ!》
惑星の語調が、はっきりと変わった。
先ほどまで広間全体を圧していた意志の圧力が、今度はアシュリーただ1人に向かって収束していく。
「……嘘だろ?」
アシュリーの口から漏れた声は、さきほどまでの軽さを欠いていた。
瞳から余裕の色がすっと剥がれ、自分の放った軽口が招いた事態を悟った彼女は、頬を引きつらせるほかなかった。
《間違いない。その声……あの調和の音色を紡いだ者》
惑星の意志は、威圧を解き、今度は明確な興味を示した。
《我はそなた達と語らう場を欲する。我と、そなた達が今『オーシャンマン』と呼んだ、この惑星の未来について》




