issue#04 I I I Tales from Topographic Oceans CHAPTER 03 35
「コレ、自然現象じゃないかも……!」
おせちが、疑念を滲ませた声を上げる。
「ストームジー!止めろよ、お前ならできるだろ!」
アシュリーが吼えた。ストームジーは期待に応えようと片手を天へ翳す。
体躯から金色の光条が放たれ、上空のエネルギー膜へと突き刺さった。
だが、光は接触の瞬間に拡散し、霧散する。制御を試みた腕が、強烈なフィードバックを受けて痙攣した。彼は1歩後ずさり、苦悶の表情で手を下ろす。
「……なぜだ?おかしい!この力は、私の権能を受け付けない」
ストームジーの声は、苦々しく事実を認めた。眼窩の光が、悔恨と無力感に激しく明滅する。
「……やっぱり!噴火って地球じゃこんな風にはならないと思ったんだよ」
おせちが確信を深める。
噴火は、明確に地上の5名を標的としていた。 第2波、第3波の火山弾が彼女たちの逃走経路を先読みするごとく襲いかかり、殺意を帯びた熱風が肌を焦がす。風の恣意性は、陸地を走る際、
密林の一部だけがローラーに引かれたような燃え上がり方を見せることで一目瞭然だった。
巨大な岩塊がすぐ脇をかすめ、着弾の衝撃で地面を抉り取る。
同時に、島を取り巻く海は異常なまでに猛り、水平線からは、山頂にまで水飛沫が届くであろう高波が押し寄せていた。
「とにかく、ここからフケるぞ!」
アシュリーの号令が飛ぶ。 5人はジャングルの外縁を放棄し、
降り注ぐ大小の火山弾をかいくぐって浜辺へと一気に飛び立った。
海岸線が迫る中、おせちは視界の異変を捉える。猛る波濤の只中で、
無数の青白い光点が明滅を繰り返していたのだ。
冷徹かつ明確な輝きは、一行が距離を詰めるにつれて増殖し、
こちらの機動に呼応するごとく隊列を組み替えていく。
待ち伏せの意図は明白だった。
だが、彼女たちが浜辺の白砂を踏みしめる寸前、光の群れは一斉に深淵を目指し、姿を消してしまう。
「――もしかして、これがゴチェヌコイの実働部隊?」
はちるが、息を切らしながら問う。
「さすがにこの早さで来ることはないと思うけど――」
おせちは、背後で弾ける岩塊を警戒しつつ、即座に否定した。
「――”それ”がそこにいるってことは、今1番安全なのは海の中なハズ!このまま潜るよ!」
「えー!?」
はちるが、今度は本気で嫌そうな声を上げる。
「生き物なら餌付けできるかもしれないんだからな!」
アシュリーはすでに海面を睨みつけ、不敵に笑ってみせた。
5人は追撃の火山弾を背に受け、覚悟を決めて砕け散る波頭へ身を投じる。




