issue#04 I I I Tales from Topographic Oceans CHAPTER 03 16
再び会談の日が訪れた。
黒曜石の会議室は、前回と寸分違わぬ、寒々しいほどの威光を放っている。
長大なテーブルの向こう側では、総督と交渉団のクワウバンたちが、すでに椅子に深く身を沈め、
真珠めいた白い眼球の群れをこちらへ向けていた。
ストームジーを先頭に、カルテット・マジコが室内へ歩み入る。磨き上げられた床は足音を吸い込み、歩調だけが、じわじわと場の空気を押しのけていく。
彼女たちの間に漂う気配は、前回とは明らかに違っていた。厳粛さの底に、確かな自信が混じっている。
おせちはテーブルの中央まで進み出ると、真正面から船団の総督を見据えた。
その表情には、怯えも逡巡のかけらひとつもない。
「すみませんが、いくつか椅子を用意していただけますか」
その声は、お願いではなく「当然の前提」として響いた。
総督の巨大な瞳孔が、わずかに収縮する。隣席の交渉官たちの筋繊維が、
不快をこらえるようにさざ波だった。翻訳機が、遅れて慎重に言葉を紡ぐ。
「……どういう意図でございましょうか」
おせちはその問いをさらりと受け流し、テーブルの縁を指先で軽く叩いた。
まるで、ここから先は自分たちの持ち場だと言わんばかりの仕草だった。
「今日からは、私たちが交渉の当事者として、席に着かせていただくということです」




