issue#04 I I I Tales from Topographic Oceans CHAPTER 03 09
会議室は、地球の常識をはるかに逸脱した、異界の情緒に満ちていた。
足を踏み入れた途端、4人は息を呑む。
内部を形づくっていたのは、磨き上げられた黒曜石めいた物質だ。
壁も床も、チェスの駒を思わせる優美なくびれを備えた巨柱群も、
すべてが深い闇の光沢に沈んでいる。表面一帯には無数の白い斑点が散りばめられ、
宇宙の断片をそのまま封じ込めたかのように、底知れぬ瞬きを放っている。
明確な光源は見当たらない。それでも室内は不気味なほど明るい。天井と壁と床の境界は、
光の加減によって溶け合い、遠近感を曖昧にする。構造物の影は互いに反射し合い、
幾重にも折り重なって、抽象画じみた幾何学の連鎖を描き出す。
それは、理解を超えた文明の感性が結晶した、
崇高にして異様な美の体系であり、見る者の認識そのものを酔わせる幻想空間だった。
中央には、同じ材質で造られた長大な卓が据えられている。一方の端にはストームジーが立ち、
その背後にカルテット・マジコの4人が、不慣れな感じでそろそろと並んだ。
対面側には、皮膚という概念を持たぬクワウバンの交渉官たちが、『最後の晩餐』の一枚絵を彷彿とさせる配置で並び、異形の身体を椅子へ沈めながら、無数の眼球で来訪者を凝視している。
やがて、その列の中央に座るクワウバンの胸部に装着された翻訳機から、調律を終えた声が低く響き渡った。




