表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カルテット・マジコ  作者: piku2dgod
Issue#04 I I I I Tales from Topographic Oceans

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

337/407

issue#04 I I I Tales from Topographic Oceans CHAPTER 03 05

風光の橋を渡りきると、巨大な円形のエアロックが眼前にそびえていた。

内側からあふれる光を帯びながら、金属の輪がゆっくりと口を開いていく。

その入口に――“それ”は立っていた。


全長はおよそ3m。『エイリアン』のゼノモーフを思わせる、後頭部が不自然なほど長く伸び、

骨格がそのまま外側へ押し出されたような体躯だ。

だがそれ以上に目を奪うのは、『デッドスペース』のネクロモーフさながら、全身の皮膚が剥ぎ取られ、赤黒い筋繊維と白く光る腱が、むき出しのままぬめった光を返している点だった。


腕は6本。鎌じみた刃を備えた腕が2対、その狭間に、人間とおなじく指を持つ細身の腕が1対。

いずれも異様に長く、動き出せばそれだけで周囲の空間が占拠されてしまいそうだ。

そして何より不気味なのは頭部だった。そこにはまぶたという構造がない。巨大な眼球が、常にむき出しのまま、ぎょろりとこちらを射抜いてくる。


そのおぞましい姿に、さなとはちるの息が止まる。

おせちは反射的に1歩前へ出て、仲間たちをかばう位置を取った。

アシュリーは唇を噛み、掌に集まりかけた熱を、無理やり押し殺す。


門番は、まずストームジーに目線を向けた。

今にもこぼれ落ちそうな彼の眼球が、来訪者の全身をゆるやかに走査する。


「……ようこそおいでくださいました、管理霊殿。総督がお待ちです」


喉元に装着された翻訳機から響く声は、意外なほど穏やかで整っていた。

ついで門番は、後方の4人に眼を移す。感情の読めない光を宿した大きな瞳が、観察するようにゆっくりと上下する。


「……して、こちらの方々は?」


「彼女たちは『縁者』だ。会議まで同行させても構わないな?」


ストームジーは、一切ためらいを見せず答えた。


門番の目がわずかに光を変える。沈黙の時間はことのほか長引き、少女たちの喉に重たい空気が絡みついた。が、その次に発せられた声は、驚くほど優雅な響きを帯びていた。


「ようこそ、『使い魔』の皆様。わたくしゴ=ヴォダ・ジェィワがご案内いたします。

どうぞ、こちらへ」


その宣言とともに、皮膚を失った異形は、まるで執事のように深く頭を垂れた。

むき出しの筋肉と腱が動くたび、その礼法の所作がかえって端正さを増して見える。


「……は?」


アシュリーの口から、気の抜けた声が漏れる。

おせちは小さくため息をつき、炎を引っ込めたアシュリーの肩にそっと手を置き、門番へ向き直って丁重に頭を下げた。


「ご丁寧にありがとうございます。姉妹が少し驚いてしまっただけです」


「……ああ、承知しました。中へどうぞ」

門番は翻訳機越しの声色をやわらげ、鎌めいた腕の1本で入口の奥を上品に示した。

示された先で、通路の白い光がいっそう強まっていく。


4人は互いに目を交わし、ストームジーの背中を追う。

こうして彼女たちは、未知の文明の中枢へと、1歩1歩、身を踏み入れていった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ