330/402
issue#04 I I I Tales from Topographic Oceans CHAPTER 02 23
そう告げると、ストームジーは右腕をゆっくりと掲げた。
オーケストラの指揮者が最後の1音を制する時のように、その所作は優雅でありながら、
抗いがたい威圧感を宿していた。
動きが頂点に達した途端、世界から音が消えた。
風が止み、波が止み、雷鳴さえ喉を塞がれたかのように鎮まる。
嵐の空そのものが、彼ひとりの意志に従属したのだ。
黒雲の群れが主の命令を理解した従者のように左右へ割れ、秩序を取り戻した隊列となって並び直していく。
やがて、空に細い裂け目が開いた。
そこから注ぎ込むのは、この星のふたつの太陽ではない。
無数の白い星々――宇宙の深淵から届いた、冷ややかで神々しい光の束だった。
いく筋もの光芒が地表へと降り下り、暗い海原をまっすぐ貫き、
天と海とを結ぶ光の柱を、大聖堂の列柱さながらに林立させていく。
光は風を払い、雲を炙り、波の上に揺らめく白金の幕を敷いた。
嵐の残骸は、その幕の上でしばし揺れ、やがて祈りの終わりに消える香煙のように薄れていく。
まさに――この惑星がひとときだけ、神話の時代へと巻き戻ったかのような光景だった。
「……私についてきてくれ」




