issue#04 I I I Tales from Topographic Oceans CHAPTER 02 20
島が揺らいだ。
地面が根底からうねり、波止場の岩が互いにぶつかり合って砕け散る。
体ごと鷲掴みにされ、天地を逆さへ振り回されるような衝撃が、内臓までを揺さぶった。
木々が軋み、根を引き抜かれて倒れていく。
「今の……地震じゃない!」
ちょうど着地した隙にその一撃を食らい、不格好に転げたおせちが、
砂を払いのけながら身を起こして叫ぶ。稲妻が海を断ち割り、白光が短く沖を照らした。
そして――彼女たちは見た。
闇の奥で、海原が白い怒涛を幾重にも重ね、雄大に、それでいて揺るぎない足取りで忍び寄っている。
押し寄せる波群は、海面にくっきりと縞模様を刻むほど等間隔で並び、
工場の生産ラインから送り出される製品さながらに、規則正しく、機械的に、
ひとつ、またひとつと水平線の彼方から送り込まれてきた。
それは、人間の水平な視界において、端から端までを埋め尽くす白銀の帯となり、
途切れることなく連なっている。
遠景では、個々の波頭は糸のように細い。それが中ほどでは太い帯へと膨れ上がり、
至近では城壁にも匹敵する高さで迫る。3重、4重、5重と折り重なった波頭が鎌首をもたげ、
水滴の牙を剥きそろえる。その横一列に並んだ無数の白蛇の姿ごと、島を叩き潰さんとしていた。
先ほどおせちが切り分けた高波は、この途切れぬ行列の、ただの突出がすぎた前触れに過ぎなかった。
それだけでも十分に絶望的な光景だったが、4人が真の脅威を悟ったのは、足元を駆け抜けた常軌を逸した振動によってである。
すでにその手前――幾重にも重なる波濤と島の岸壁との狭間で、数100m級の巨魚がうねる水柱をまとったまま岩礁へ深々と突き立っていた。
その一撃は島の基盤を砕き、大地を持ち上げる衝撃波が、再び足元を――「颯爽」という表現が似合うほどあっさりと駆け抜けていった。
砂と海水が混じり合い、爆ぜる飛沫となって島の輪郭から高空へと噴き上がる。
またもや空に稲光が奔る。次の波頭が盛り上がった海面を照らし、その腹の影の中から、さらに多くの影が顔をのぞかせる。




