issue#04 I I I Tales from Topographic Oceans CHAPTER 02 16
「……なるほどな。よーするに、暇つぶしを本気でやろうってことか」
アシュリーは、すべてを理解したように、唇の端を吊り上げて笑った。
その顔には、もはや退屈の気配は一片もない。
「よし、決まりだ! どうせなら、海賊船みたいなデカいのを作ろう!
我らのクラブ(アーセナル)のアイコンみたいに、でっかい大砲もつけてさ!
名前は――ミケル・アルテタ!」
「えー、ウチはネコ型がいい!」
「かわいいのがいいな……」
はちるとさなが、それぞれに反論を挟むものの、声にはどこか楽しげな色が混じっている。
焚き火の焦げ跡を背に、4人の少女たちはあらためて顔を見合わせ、笑った。
まるで、新しいゲームのルールを決める子供たちのように。
そして、誰からともなく、その“新しい遊び”のために――孤島の森へと駆け出していった。
彼女たちは、この「退屈」という名の、平和的でありながら厄介極まりない敵に、
創造という武器で戦いを挑むことを決めたのだ。
*
あの天変地異のような1日から、いったい何度、双子の太陽が昇り、
そして紫と水色の融け合った夜の空が、白い星々で埋め尽くされたことだろうか。
孤島の岬、その土手の先には、寸法の整った木の板がどこまでも並び、
しっとりと潮気を含んだボードウォークをなしている。
風が板の道をすり抜け、どこか甘い植物の香りを運んでくる。
木の板にできた水たまりには、通り過ぎる雲の影がじんわりと流れ、時間そのものさえが緩やかに息づいているようだった。
この道は、やがて15mほどの独立した橋となって海の上を渡る。
天国への一方通行めいて、昼の燐光に包まれたやわらかで青々しい光景。
水底の、白砂の肌をかき乱す透明な波が、その橋の両脇できめ細やかな網の目紋様を描き、
日差しを反射しては、揺らめく金の鱗を撒き散らしていた。




