issue#04 I I I Tales from Topographic Oceans CHAPTER 02 13
やがて夜更け。 焚き火が熾火となり、異星の月が放つ淡い光が、
白い砂の浜をぼんやりと照らし出す。
彼女たちが大きな葉と柔らかな砂でこしらえた即席の寝床。 その簡素な寝床を前に、
さながいつものように、控えめだが譲れぬ声で言った。それは、人生の初日、
ひとつのベビーベッドに4人まとめて並べられた時から、いちども変わらぬ夜の習慣。
「――ねえ、今日も、ちゃんとみんなで川の字に寝るよね?」
「ここでか?砂の上だぞ」
火の前に肘をついて、横寝のアシュリーが思わず苦笑する。
「……だめ、そうしないと寝られないのはかわりません!」
さなは、その情けない要求を、まるで正義の宣言みたいに言い放った。
「ま、誰も見てないんだしさ。だったら部屋の中みたいなもんだよね」
おせちが軽く笑って、さなのささやかな主張をフォローする。
「はぁ……わかったよ。でも、おせちはまた一番端っこ?」
アシュリーは、仕方ないといった様子でしぶしぶ尋ねる。
「うん。そのほうが性に合うね」
おせちはいつものように、静かに微笑んで頷いた。
「でもこんな機会だから今日は”壁側”――いや、潮風が強くない方にしようかな」
「じゃ、こっちからウチ、さな、アシュリー、おせちにしよっか」
はちるが短くまとめ、柔らかな毛並みを揺らしながら葉の上へ――海を背にする形で寝転がる。
その並びは、かつて吉濱家での夜に決まっていた順番をそのまま輸入したもの。ただし今夜はベッドの上でなく、焚き火の残光と異星の星々の下で彼女たちは眠る。
寝相がいいという理由で、常に“床側”を担当していたおせちが今日は海風をしのぐ形になり、
まるで夜空そのものを天井にしたような寝床が、そこに生まれた。
はちるの包容力ある毛の腕の中、さなはさっそくアシュリーにしがみつき、 深く息を吐く。
ようやく得られた本物の安らぎの中に、微量の郷愁が混じった呼吸だった。
焚き火の残火が、4人の輪郭をやわらかく照らす。 白砂の上――そこに、
無防備な「川」の字が完成した。
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本家:ページ中にキャラのコンセプトアートなどあり
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