issue#04 I I I Tales from Topographic Oceans CHAPTER 02 10
いかにも退屈そうな彼の使命と、世界の上位構造の説明。それを聞いたアシュリーは、隠そうともしない大あくびを噛み殺し、正直すぎる感想を漏らした。
「へえ……。そういや、もう少しマジメだったころの母ちゃんもたしかンなこと言ってたな。ま、要するに、終わりのない作業ゲーの運営側ってことだろ?それ自体はたいへんご苦労なことだと思うよ」
彼女はけだるげに髪をかき上げる。
「んで、あんた個人の使命だけど……あのドモホルンリンクルのCMさ、あるだろ?雫がぽたぽた落ちるのをひたすら見つめてるだけのやつ。あれを何万年もやれって言われたら、あの会社の人だって辞表叩きつけると思うよ?すくなくとも私は3分持たないけど――ま、せいぜい頑張ってくれ」
「……そうか。では、ひとまずはこんなところでさらばだ、若き半神よ。
君たちがこの星の客人として分を弁えている限りは、その滞在を許そう。いずれまた顔を見せる」
アシュリー流の皮肉を、ついぞ理解しないまま別れの言葉を告げると、
ストームジーの身体は陽炎のように揺らぎ、まるで初めから幻であったかのように、
風と共に消え失せた。
――「滞在を許そう」と彼は言った。しかしその響きに、もてなしの温かみなど微塵も含まれてはいなかった。それは、あくまで「許し」であり、「監視」の宣言。
「――君たちが、この星の調律を乱す『嵐』とならない限りは」
言外に潜んだ無言の警告が、アシュリーをのぞく3人の胸に、異星の重力にも似た圧となって沈み込んでいた。




