issue#04 I I I Tales from Topographic Oceans CHAPTER 02 06
そこは、色彩の暴力とでも呼ぶべき、絶対的な対比で構築された世界だった。
目を灼く白砂が、果てしなく汀線を描いている。2つの太陽が注ぐ異なる光を、
凄絶な按配で乱反射する硝子の粉末――踏みしめれば、それは絹を裂くようなか細い音を吐いた。
寄せては返す紺碧の波は、この星の呼吸そのものだろう。
水面には画然たる瑠璃の色が載っていた。だがそれも水平線の彼方では、いつしか空の蒼と溶け合い、
境を失っている。つまりは水平線こそが、この世界を構成するあらゆる色の源だった。
砂浜の終わり、土砂質の陸地が始まるその境界線には、まるで島をふたつに分かつかのように、濃密な緑の壁がそびえていた。
山の稜線のごとく伸びる、ヤシに似た植物の群れ。しかし、その葉は扇状に広がりながらも、
どこか金属的な光沢を帯びている。根元には、地球のソテツを思わせる、
硬質で幾何学的な葉を持つシダ風の植物が、この星の太古の記憶を宿して密集していた。
そして、その濃緑のキャンバスにぶちまけられたものとして、
無数の赤い果実が、重たげに枝をしならせている。
血の雫であり、磨き上げられた宝石でもある、その鮮烈な赤。さらに、薄い花びらをつけた低木が、
燃えるような赤紫色の花を、地球のそれとは異なり、枝に螺旋を描くように咲かせていた。
それは、地球のどこかの楽園を精巧に模倣し、ときおり、独自の解釈を加えて直した舞台装置を思わせた。風景のそうした――あらゆる細部に宿る決定的な違和感が、ここが人の住む世界ではないことを、ひそかに、しかし雄弁に物語っていた。




