issue#04 I I I Tales from Topographic Oceans CHAPTER 02 04
「……同格ぅ?」
波間にただよっていたおせち が、水を数滴吐き出しながら、素っ頓狂な声を上げた。
「どこの星系の『管理霊』かは知らないが、我が行いを阻むな。こちらは喫緊の任務で来ている」
いきなりの拒絶。それはきわめて絶対的で、交渉の余地を1ミリも含ませない、神の宣告だった。
その一方的な物言いに、恐怖よりも先に闘争本能が湧き上がる。アシュリーの口元が、ふっと不敵な笑みを形作った。
「うぉっ……いきなりえらそ!ストームジー(Stormdjii)って感じだな!」
嵐を呼び、怪物を鎮め、神の如き威光を放つ男。その桁違いの存在を前に、
少女が放った不遜なあだ名が、晴れ渡った大海原に、妙に場違いに、しかし小気味よく響き渡った。
(……この「ストームジー(Stormdjii)」という呼称は、“嵐(storm)”と、
アラビアの精霊“ジン(djinni)”を掛け合わせた造語である。
ラッパーの「Stormzy」を元ネタとするゆえ発音は同じだが、
物語世界の由来を反映して、スペルは“Stormdjii”と独自のものに改めている。*PIKU )
次の瞬間、アシュリーの身体が、内側からの爆発のように紅蓮の炎に包まれた。
自己主張のない穏やかな海面が、彼女の放つ数1000°Cの熱で、シュッ!と音を立てて沸騰し、
蒸気の柱を上げる。
炎の翼を広げたアシュリーは、爆発にも似た勢いで水面を蹴り、垂直に舞い上がる。
そして、ストームジーと真正面から向き合うように、挑発的な顔で、その眼前にぴたりと急停止した。
……一触即発。 惑星の神と、炎を纏う少女が、空中で堂々と対峙する。




